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アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち (2015):映画短評

アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち (2015)

2016年4月23日公開 96分

アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち
(C) Feelgood Films 2014 Ltd.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

山縣みどり

世紀の裁判を世界に放映したTVマンの心意気がしみる

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

アドルフ・アイヒマンの裁判が世界37カ国にTV放映されたと本作を見て初めて知った。さまざまな意味で“世紀の裁判”となった裁判を映像に収めたTVマンそれぞれが掲げる信念や情熱、そしてホロコースト被害者の当時の状況に焦点を当てた構成が心に響いたが、特に心に残ったのは戦後イスラエルに移住したサバイバーたちが収容所体験を信じてもらえずに次第に口を閉じたという逸話。あまりにも凄惨すぎる事実を人間は真実と受け止められないのだ。しかし恐怖や過去と向き合うことを恐れてはいけないとも実感する。『ハンナ・アーレント』などで見知った題材だが、ドラマ仕立てで見やすいというプラス面もある。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

"記録映像の力"というものについての映画

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 二重の意味で、"記録映像の力"についての映画になっている。
 ドラマは、ナチスの戦犯アイヒマンの裁判をTV中継しようとする人々を描くもの。そして、その中心人物である主人公は「実物を映した映像には、真実が描き出されるはずだ」という信念を持っている。この主人公の強い思いはどのような形で結実するのか。それがこの物語の見どころの一つ。
 そして、もう一つの見どころは、この映画に登場する裁判シーンに、実際のこの裁判の中継映像が使われていること。観客はこの映画を見ることで、実際の中継映像が何を映し出したのかを、自分の目で直接、確かめることが出来るのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

歴史の真実を伝えた人々の姿にテレビ報道のあり方を見る

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 世界中に衝撃を与えた’61年のナチ戦犯アイヒマン裁判。その模様をテレビ中継することに成功した人々の実話を描いた英国BBC作品だ。
 当時はユダヤ人ですら、多くが眉唾だと考えていたホロコーストの悪夢。イスラエル裁判所からの無理な注文、ナチス信奉者による卑劣な脅迫、経験不足の現地クルーや当時の原始的な機材の問題など、様々な困難に見舞われながら、歴史の真実を世界に伝えるという使命感に突き動かされ不可能を可能にした主人公たちの姿に感銘を受ける。
 テレビの力、報道の力、映像の力を改めて思い知らされる作品。視聴者からのクレームや社会の同調圧力にいとも簡単に屈してしまう、今のテレビ関係者にも見て欲しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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