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グランドフィナーレ (2015):映画短評

グランドフィナーレ (2015)

2016年4月16日公開 124分

グランドフィナーレ
(C) 2015 INDIGO FILM, BARBARY FILMS, PATHE PRODUCTION, FRANCE 2 CINEMA, NUMBER 9 FILMS, C -FILMS, FILM4

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

くれい響

45歳の大巨匠が描く、変化球の人生賛歌

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ラ・ブーム』の主題歌「愛のファンタジー(原題Reality)」に胸キュンするのでなく、泣かされる日が来るとは…。このあざとすぎる選曲も含め、やっぱり45歳なソレンティーノ監督が描く、変化球の人生賛歌。今回も大巨匠の貫録を感じさせるなか、どこかキャッチーである。セレブも集まるリゾートホテルの様子は、どこか『ケロッグ博士』のサナトリウムで、どこか『ロブスター』のホテル。つまりは、現実離れした空間であり、宿泊者たちは人間動物園状態。そこに、セルフパロディととれるジェーン・フォンダが登場すれば、ある意味ホラー映画のような緊張感が張りつめる。この緩急の巧さが監督のタダものじゃなさを物語っている。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

フェリーニ的な映像美に彩られた力強い人生賛歌

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 スイスでバカンスを過ごす引退した大物作曲家。英国王室からカムバックをオファーされた彼の、心に秘めた葛藤を描く。
 新作の準備が難航する老映画監督、キャリアの成功に疑問を抱くハリウッド俳優、肉体の衰えた往年の人気サッカー選手、そして復帰を頑なに拒む主人公。高級リゾートホテルを舞台にそれぞれのままならぬ人生が交差し、生きることの意味、目的、喜び、悲しみが複雑に絡み合っていく。穏やかでありながらも力強い人生賛歌だ。
 再びフェリーニ的な作風に挑んだソレンティーノ監督。ややスタイルに偏り気味ではあるものの、「魂のジュリエッタ」や「女の都」を彷彿とさせるシュールで幻想的な映像美が素晴らしい。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

フェリーニの遺伝子を持つ監督の芸術的な映像が圧巻

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

スイスのスパ・リゾートを舞台に老指揮者の再生を描く物語自体は単純。ただし彼を取り巻く人々との交流や会話から見えてくる人生模様は複雑かつユニークな設定が多く、「生きるって…」としみじみと考えさせてくれる。特にマイケル・ケインが演じる主人公が心の奥にしまい込んでいた苦悩は達観した態度とは裏腹に切なく、胸にぐっと迫ってくる。そして、さらなる見どころが登場人物の日常を彩る芸術的な映像美だ。毎夜、リゾート中庭で開催されるイベントやベネチアの水路を歩く主人公像など無意味に見えて、実は深い意味を持った映像はフェリーニ的で圧巻。やや作りすぎの感もあるが、それがP・ソレンティーノ監督の作家性なのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

幻想的な映像で描かれる"老い"と"若さ"の物語

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 "老い"について、その対比としての"若さ"についての物語だが、普通の生活とはかけ離れた設定、幻想的な映像、魅惑的な音楽で語られるので、重くなりすぎない。アルプスの富裕層だけが集う高級ホテルで過ごす、すでに世界的文化人として評価されている老いた指揮者と老いた映画監督。2人がそれぞれ深い悩みを抱いていることが判明していくが、彼らは親友である相手にすら、その苦悩を語ったりはしない。
 すべてを音楽に捧げてきた指揮者は、散歩中の休憩で牧場の風景を眺めていて、ふとその場を満たしている風の音やカウベルの音に気づくと、思わず両手でその音楽を指揮してしまう。そのシーンが印象に残る。

この短評にはネタバレを含んでいます
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