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エルヴィス、我が心の歌 (2012):映画短評

エルヴィス、我が心の歌 (2012)

2016年5月28日公開 91分

エルヴィス、我が心の歌
提供:パイオニア映画シネマデスク
森 直人

俺は田舎のプレスリー……どころじゃない気迫。

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

ロマンティックな自己陶酔 VS.身も蓋もない現実。娘をリサ・マリーと名付け、完璧に「C.C.ライダー」を歌うアルゼンチンの工員が、いよいよエルヴィスが寂しい死を遂げた42歳を迎えようとしている。実際にトリビュートバンドで活動しているという主演J・マキナニーの「なりきり」は決して小さくない狂気を湛えている。

いわゆるネタ的なモノマネ芸の中にも、冷やかせぬ「本気」を感じて戦慄する時がよくあるが、理想的な他者と自己像が完璧に同化した時はやはりエクスタシーに達するのだろうか。イニャリトゥの近作で脚本を手掛けた監督のA・ボーは、ユニークな視座から人間の「幸福」について考察した。泣けるし、怖い映画だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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