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恋するリベラーチェ (2013):映画短評

恋するリベラーチェ (2013)

2013年11月1日公開 118分

恋するリベラーチェ
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なかざわひでゆき

傲慢でわがままで人一倍傷つきやすい乙女なオッサン

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 リベラーチェといえば、自分が洋楽を本格的に聴き始めた80年代においては、それこそ究極にダサくてカッコ悪いものの代名詞だった。ケバケバしい衣装は古臭い成金趣味丸出しだし、クラシックともポップスともつかない中庸な音楽は全然クールじゃないし。いわばオバサマたちのアイドル。インパクトだけは妙に強烈だった。

 そんな異形のエンターテイナー、リベラーチェの知られざる素顔を、彼の恋人だった年下男性スコットの視点から描いた本作。そう、本人は死ぬまで絶対に認めようとはしなかったが、彼もまたクローゼット・ゲイの一人だったのである。とはいえ、ここにはそんな秘密を抱えた男の孤独や苦悩など微塵もない。虚飾まみれの芸能界に骨の髄まで浸かったスターは、傲慢でわがままで独占欲が強く、それでいて人一倍傷つきやすい乙女なオッサン。その天衣無縫な生き様が可笑しくもあり哀しくもあり、どこか人間的な親しみすら感じる。

 ソダーバーグ監督の軽妙かつユーモラスな演出も見事だが、歩くカミングアウトなリベラーチェを生き生きと演じるマイケル・ダグラスの怪演がまた圧巻。「雨に唄えば」の大女優デビー・レイノルズの健在ぶりも嬉しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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