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海よりもまだ深く (2016):映画短評

海よりもまだ深く (2016)

2016年5月21日公開 117分

海よりもまだ深く
(C) 2016フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

清水 節

なりたい大人にはなれない。されど時は過ぎ、それでも人生は続く

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ドキュメンタリーのように再現される、故郷としての団地暮らしの日常。離ればなれになった家族を繋ぎとめているのは、今はもういない父の存在であり、死者への想いだ。物語の中心には、挫折を味わった五十男・阿部寛の悔恨と過去への執着がある。幸福を諦めない不機嫌な元妻・真木よう子。家族を再生させたい母・樹木希林。芸達者な俳優陣もさることながら、吉澤太陽(03年生まれ)の表情がいい。幼さを残した少年は、身勝手な大人達に築かれた環境ゆえ、急速に成長を促される。人生は思うようにいかない。なりたい大人にはなれない。されど時は過ぎ、それでも人生は続く。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

それでも人生に夢は必要だけれどね!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 是枝裕和監督×阿部寛のコンビによる良多シリーズ(?)3作目。今回の良多は別れた妻子の養育費も払えず、稼いだ金もギャンブルで浪費し、挙句の果てに老母の貯金にまで手を出そうとする自称小説家。正真正銘のダメ人間だ。
 そりゃ人生なんて思い描いた通りにはいかない。全てを手に入れようとして誤った道ばかり選択した結果、何一つ成し遂げられていない良多の情けなさは、筆者を含めた多くの夢追い人にとって反面教師のようなものと言えよう。
 そして嵐の一夜を共に過ごすことで、壊れかけた家族の心境にかすかな変化と希望の光が差し込む。ありがちな筋書きではあるが、さりげなく真理をついたセリフの数々がジンワリと響く。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

阿部寛演じるダメ男・良多シリーズ第3弾

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『歩いても 歩いても』「ゴーイング マイ ホーム」に続く、阿部寛×是枝監督によるダメ男・良多シリーズ。劇中キーパーソンとなる亡き父の話が出るたびに原田芳雄の顔がよぎることもあり、“そこを堪能する”という観方はできる。また、テレサ・テンの「別れの予感」の歌詞に由来したタイトルや、オトナの『台風クラブ』な展開も興味深い。ただ、万人受けする家族ドラマ、樹木希林やリリーフランキーの間を強調した芝居など、確実に守りに入ったことによるマンネリ感は否定できない。正直な話、そろそろ『ワンダフルライフ』『DISTANCE』のような攻めまくった、または『空気人形』のように、どこかブッ壊れた作品が観たいところ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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