シネマトゥデイ

シネマトゥデイ

人間の深層に降りようとした異色作として一見に値する。

  • 知らない町
    ★★★★

    長編3作目となる大内伸悟監督の風変わりな意欲作だ。死者=生の跡を歩くことで、何の変哲もない風景が意味を持って立ち上がってくる様は大島渚の『東京戦争戦後秘話』等と重なるし、ホラー的着想で存在不安の根本を揺さぶる点では篠崎誠の怪傑作『SHARING』と並べてもいい。

    とはいえ本作の魅力の肝は、それこそ♪知らない町を歩いてみたい~と歌われる「遠くへ行きたい」に通じるような、人間の潜在意識に訴えかけるノスタルジックかつ奇妙な抒情だろう。少年の頃の回想(記憶)パートが抜群。惜しいのは語りにやや明瞭さが欠けること。後半の仕掛けに向けて異形の構築美を打ち出せていたら、達成のレベルが随分変わったに違いない。

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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「Numero TOKYO (Web)」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。

近況: 11月23日(金)、自由が丘gallery yururiでのイベント『映画パンフは宇宙だ!』で大島依提亜さん×辛島いづみさん対談のMCを務めます(12:30開場/13:00開演)。BSスターチャンネルの無料放送番組「GO!シアター」、12月は『パッドマン 5億人の女性を救った男』『私は、マリア・カラス』『それだけが、僕の世界』についてコメントしています。執筆参加した『世界のカルト監督列伝』『鬱な映画』『漫画+映画!』『新世紀ミュージカル映画進化論』『究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10』(いずれも洋泉社)が発売中です。

サイト: http://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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