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テーマだけじゃない!『そして父になる』と同じ共通点が…

2013年10月31日 中山 治美 もうひとりの息子 ★★★★★ ★★★★★

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もうひとりの息子

 『そして父になる』と同じ子供取替え事件がテーマだが、本作は宗教と政治が絡むだけにさらに複雑だ。いまだ争いが耐えないイスラエルVS.パレスチナ。本作の場合は、フランス系イスラエル人なので仏語を話し、かつユダヤ教徒。方やアラビア語でイスラム教徒という家族だ。つまり、息子じゃないと現実を突きつけられた18歳の少年たちは、いきなり家族の中で自分一人が敵となり、神など幼少から信じていたモノすべてがガラガラと崩れることになる。さらに肉親じゃないと分かった瞬間、父や兄たちは余所余所しくなり、憎悪さえぶつけてくるのだ。この状況、自分なら耐えられないだろう。 
 だが本作は一方で、両者は間違いに気付かなかったほど人種に違いはなく、レッテルに左右されやすいという皮肉も描いてる。あわよくば、国際社会を敵に回しかねない挑戦的な内容に、作り手たちの覚悟を感じる。
 それにしても『そして父になる』もそうだが、血にこだわるのは父親の方というのが興味深い。母親と違って腹を痛めたという実感がない分、子供との絆を信じられる確かなもの欲しいのだろうか? 

中山 治美

中山 治美

略歴:茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。日本映画navi、全国商工新聞、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、BANGER!、朝日新聞webサイトおしごとはくぶつかん情報館内で「おしごと映画」を執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況:本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。ライフワークの旅の記録をまとめたブログはこちら。https://tabisutekaisyu.amebaownd.com

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

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