携帯電話サスペンス『セルラー』からの進化形!

2013年11月23日 森 直人 ザ・コール [緊急通報指令室] ★★★★★ ★★★★★

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ザ・コール [緊急通報指令室]

面白い! 変態男に誘拐された女子(アビゲイル・ブレスリン)が、ケータイ一本でつながった911オペレーター(ハル・ベリー)の指示で絶体絶命の危機から脱しようとする。通話がバレたら終わりという、じりじりした緊張感。携帯電話を命綱にしたサスペンスなら『セルラー』やその香港版『コネクテッド』があり、さらに『96時間/リベンジ』でも見せ場に組み込まれていたが(思えばすべて佳作だ)、本作は『激突!』的なシンプルさに特化したのが勝因。最近はTVの仕事も含め職人感が増しているブラッド・アンダーソン監督の腕もいい調子!

このワン・シチュエイションで押す3分の2までは文句なしの傑作……なのだが、残りの3分の1からオチにかけては「えっ、わざと?」くらいに賛否が分かれる展開に仕上げている。別に失速するのではなく、舵の切り方が意外というか。話のネタという意味で、むしろ必見度は上がっている?

ところで犯人がTacoの「踊るリッツの夜」やカルチャー・クラブの「カーマは気まぐれ」など、80年代前半のヒットソングを愛聴していることに注意。つまり彼の人生はこの時期で止まっている――これが本作のドラマ的なキモだろう。

森 直人

森 直人

略歴:映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「メンズノンノ」「Numero TOKYO 」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況:YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。7月24日より、城定秀夫監督+平井珠生さん(『アルプススタンドのはしの方』)の回を配信中。ほか、田中圭監督(『島にて』)、内藤瑛亮監督(『許された子どもたち』)、諏訪敦彦監督(『風の電話』)、想田和弘監督(『精神0』)、深田晃司監督(『本気のしるし』)、豊島圭介監督(『三島由起夫vs東大全共闘』)、入江悠監督(『AI崩壊』)、タナダユキ監督(『ロマンスドール』)、岩井澤健治監督&大橋裕之さん(『音楽』)、片山慎三監督(『岬の兄妹』)と『パラサイト 半地下の家族』を語り尽くす特番、森達也監督&河村光庸プロデューサー(『i 新聞記者ドキュメント』)、小林啓一監督(『殺さない彼と死なない彼女』)、竹内洋介監督(『種をまく人』)、渡辺紘文監督&雄司さん(『普通は走り出す』など大田原愚豚舎の世界)、瀬々敬久監督(『楽園』)、今泉力哉監督(『アイネクライネナハトムジーク』)、二ノ宮隆太郎監督(『お嬢ちゃん』)、大森立嗣監督(『タロウのバカ』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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