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衰えた筋肉を頭脳でカバーする80年代“箱入りオヤジ”の大脱走

2013年12月1日 清水 節 大脱出 ★★★★★ ★★★★★

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大脱出

 80年代に実現していれば事件だった。67歳のスタローンと66歳のシュワルツェネッガー、遅すぎた初の“本格”競演。往年の人気歌手が「年忘れにっぽんの歌」で勢揃いするかのような『エクスペンダブルズ』シリーズの自虐臭などなく、本気である。しかも、IQが低い活劇と揶揄されることへの返礼なのか、設定上スタローンは頭脳明晰な脱獄のプロだ。敵か味方かわからないシュワルツェネッガーと手を組み、難攻不落の監獄要塞に挑む。ありきたりだ。
 
 とはいえ、若手や中堅のスターでは出せないオヤジ臭を放ち、老体に鞭打ちながら走って殴って銃をぶっ放す。もちろん、デ・ニーロとアル・パチーノが『ヒート』で競演したときのような観る者を高揚させる演技的ケミストリーは全く起こらない。2人の80年代アクションスターが、いや、2つの筋肉の塊が、予想通りの結末に向かっていく。
 
 これは、「映画」そのものが後期高齢者へ向かいつつある時代の象徴かもしれない。ヒットするかどうか、それはレンタル店愛用オヤジ世代が、DVD化を待たず、転ばずに劇場へ向かって走るかどうかに掛かっている。

清水 節

清水 節

略歴:映画評論家/クリエイティブディレクター●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」出演●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX●「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書: 「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●映像制作: WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞(芸術番組部門)、ギャラクシー賞(奨励賞)、民放連最優秀賞(テレビ教養番組部門)受賞

近況:●「シン・ウルトラマン」劇場パンフ執筆●ほぼ日の學校「ほぼ初めての人のためのウルトラマン学」講師●「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」劇場パンフ取材執筆●特別版プログラム「るろうに剣心 X EDITION」取材執筆●「ULTRAMAN ARCHIVES」クリエイティブディレクター●「TSUBURAYA IMAGINATION」編集執筆

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