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スウィート17モンスター (2016):映画短評

スウィート17モンスター (2016)

2017年4月22日公開 104分

スウィート17モンスター
(C) MMXVI STX Productions, LLC. All Rights Reserved.

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

清水 節

最悪の思春期を泣いてあがいて笑い飛ばす、こじらせ少女の大暴走

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 周囲の凡庸さに耐えられぬ、自意識過剰な少女の最悪の日々。自虐的にジタバタもがいて暴走しまくる顛末を、ヴィヴィッドに綴った思春期映画の秀作だ。唯一の親友に“裏切られ”てからの展開が見事。最大のクライシスは、SNS時代ならでは意外な願望告白によって訪れる。14歳にしてアカデミー賞ノミニー(トゥルー・グリット)となったヘイリー・スタインフェルドの天才ぶりが爆発。彼女を得たことで、感情移入を拒むキャラが愛すべきイタい少女に昇華した。愛は背伸びしても手に入らず、実は身近にあるものという仄かな希望を心から祝福したくなる。先生役ウディ・ハレルソン(元ナチュラル・ボーン・キラーズ)の円熟ぶりも味わえる。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

バック・トゥ・思春期の快作

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 親友が自分の兄貴と恋に落ちたことに逆切れする、女の子の話…というと単なるワガママ娘の話と思われるかもしれないが、切って捨てるわけにはいかない。

 リア充を嫌いつつもリア充でありたい、そんな十代のリアル。そのために動くと、すべてが悪い方向に向かう、おかしさと切なさ。主観と客観の絶妙のバランスが、この青春コメディをチャーミングに輝かせている。

 そんなつくりの巧さに引かれ、ダメ・ヒロインの心境にシンクロして、思春期のぎこちない生き方を思い出していた。ヒロイン、ヘイリー・スタインフェルドの勝ち気や野暮ったさを体現した妙演も絶品だし、ダメな大人に見えてしっかりしているウディ・ハレルソンもイイ。

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森 直人

ゼロ年代以降のティーン映画、ある種の系譜の総まとめ的な。

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

イケてる奴らの滅亡を願うネイディーンは古い音楽や映画が好き。『JUNO』のエレン・ペイジのBIG3は「ストゥージズ」「パティ・スミス」「ランナウェイズ」で、『ゴーストワールド』のソーラ・バーチはブルースのレコ集めに励むおっさんに恋をする。

……といった系譜の定番化を実感する一本だ(『バス男』ネタまで!)。演技派H・スタインフェルドのハマリ具合も文句なし。荒れた不機嫌女子のお話を安心して楽しめるとは是如何に(笑)。また“怒り”の扱い方など、精神分析や心理学との密着で内容は自動更新される処があるなと。W・ハレルソン先生やH・ゼトー君など男優が超いいのは、監督クレイグ女史のお眼鏡を通過してるから?

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なかざわひでゆき

思春期のこじれは痛くて情けなくて切ない

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 いや、大人でもいますね。本当は自分だって人一倍承認欲求が強いくせに、コンプレックスが強いもんだから「どうせ自分なんかはみ出し者だし」と斜に構えちゃって、周りのリア充どもを小バカにすることでなんとか自尊心を保っている痛い人。本作のヒロインの場合、頭が良いので自覚はあるのだけれど、プライドが邪魔して素直になれない。
 そんなちょっとばかり面倒くさい女子高生が、唯一の理解者である大親友がリア充側に傾いたことからどん底に。己の器の小ささを思い知らされることで、大人への階段を上っていく。全体的には予定調和な印象も強いが、思春期の不安定な危うさはとてもリアルに描かれている。

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猿渡 由紀

リアルなアプローチなのに入り込めない

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

高校生を扱ったハリウッド映画は、昔から数えきれないほどある。あまり尊敬を受けないジャンルではあるが、近年では「クルーレス」(1995)や「ミーン・ガールズ」(2004)が、高い評価を集めた。少しちゃらちゃらした感があるこれらに比べ、今作は、もっとシリアスなアプローチをする。
 主人公ネイディーンは幼い時からいじめられていて友達がいない。最愛の父は事故で死んでしまった。その後、母はオンラインの恋人探しサイトで再婚相手を見つけようとする。それらの要素はまさに今の時代にぴったりなのに、なぜか今作は心を惹きつけない。主演のヘイリー・スタインフェルドが良いだけに、なおさら残念だ。

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山縣みどり

『ゴーストワールド』アゲイン? 17歳って人生の黒歴史だね

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

スクールカーストの下部に属する女子高生ネイディーンの痛すぎる言動に自身の高校時代を思い出す人は少なくないかも。ただし彼女の言動を暖かく見守れるのは、「世界VS私」とナイフみたいに尖っていた若き日を黒歴史と自認できる人。青春の傷が生々しい女子大生なら、恥ずかしくて隠れるための穴を掘りたくなるはず。それくらいネイディーンの空回りぶりはリアルで、『ゴーストワールド』からずっと17歳の不安定さは変わらないのだなと納得。早めに人生を達観した親友との差が開くのも同じだけど、ネイディーンは親身になってくれる人々がいるのが救い。おたくの典型である映画好きアジア系男子を彼女の恋のお相手にしたのは画期的だ。

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平沢 薫

ティーン女子の発言がキツイのは日米共通らしい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ティーンエイジャーのホルモンバランスが不安定な時期に、みんなと同程度に自意識過剰で、ちょっとだけ思い込みが激しければ、他人事とは思えないネタが続々の"あるある"コメディ。実は自分が一番甘えん坊だったとわかるという展開も、定番だけど説得力あり。ヒロインは、行動だけ追っているとかなりイヤな女の子にも見えかねないが、それでも可愛げがあるのは「トゥルー・グリット」以来、仏頂面が似合う女の子が得意技のヘイリー・スタインフェルドが演じているせい? ウディ・ハレルソン演じるナイスな教師はまず現実にはありえなそうで、ここだけ"あるある"から外れているが、フィクションなんだからこういう楽しさもないと。

この短評にはネタバレを含んでいます
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