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フリー・ファイヤー (2016):映画短評

フリー・ファイヤー (2016)

2017年4月29日公開 90分

フリー・ファイヤー
(C) Rook Films Freefire Ltd / The British Film Institute / Channel Four Television Corporation 2016 / Photo:Kerry Brown

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

なかざわひでゆき

ひたすら撃ちまくるタランティーノ風B級バイオレンス

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 武器密売の取引現場で交渉が決裂。寂れた倉庫を舞台に、ギャングと武器商人とテロリストが入り乱れての銃撃戦が勃発する。アクの強いイカレたキャラの群像劇といい、捻りの効いたセリフの数々といい、いかにも痛そうな暴力描写といい、誰が見たってタランティーノからの影響大なB級バイオレンス映画だ。
 上映時間は90分とだいぶコンパクトだが、その大半がひたすら拳銃の撃ち合い。さすがに中だるみは否めないだろう。しかも、みんな死にそうでなかなか死なないし(笑)。
 紅一点のブリー・ラーソンは役得。あと、あっという間に退場する殺し屋にパトリック・バーギン。90年代の超売れっ子ぶりは何だったんだろうと今更ながら思う。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

初期のタランティーノを彷彿させる破壊力

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

IRA支援を目的とした武器取引が切れやすいバカ男のせいでカオス状態となるわけで、映画の75%くらいは銃撃戦。見終わって頭に浮かんだのが「一体、何発撃ったの?」ということで、戦争映画もかくやの発砲数だ。しかも70年代のライフルや拳銃は精度が低いのか、即死しないのがミソ。撃たれても会話ができ、意外な本音や欲望が飛び出すのが笑える。過激なバイオレンスに笑いを混ぜる演出スタイルや全体のニュアンス、登場人物の腹の探り合いといった流れが『レザボア・ドッグス』で斬新&ユニークな映画制作術を作り上げたQ・タランティーノに通じるが、破壊力はそれ以上かも。逸材ベン・ウィートリーの名前は覚えておきたい。

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くれい響

好みが分かれる、延々続く銃撃戦

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

明らかにタランティーノ・チルドレンながら、『要塞警察』に対する憧れがミエミエなベン・ウィートリー監督作。ウリは言い争いから始まる、全員参加の延々続く銃撃戦だが、これが評価の分かれどころ。ただ、1978年ボストンの設定がフックになっており、弾切れを心配してしまうほど、ムチャクチャ撃ちまくるのが前作『ハイ・ライズ』に続き、70`sファッションに身を包んだ元ブラックパンサー党員やポルノヒゲ男というキャラ立ちが面白い。一方、裏テーマが「なかなか簡単に人は死なない」だけに、負傷したときの痛さや苦しみの描写は妙にリアル。ザ・リアル・キッズで始めて、ジョン・デンバーで締める監督の音楽センスも決して悪くない。

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森 直人

ハイ・ライズならぬハイ・ボルテージのシチュエーション活劇

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

J.G.バラード物の前作『ハイ・ライズ』がタワーマンションという「縦」の空間だったのに対し、これは「横」。工場跡で巻き起こる密室劇のギャング・アクションだ。今回は監督B・ウィートリーのオリジナル脚本で、徐々に出力の目盛りを上げながら90分を一気呵成に駆け抜ける。『レザボア・ドッグス』の倉庫場面を培養した趣だが、全ては“カオスを明晰に演出する”監督の技を発揮するための説話構造といった感じ。

さらに「70年代」も『ハイ・ライズ』との共通項。車から流れるジョン・デンバーの曲(「緑の風のアニー」など『バック・ホーム・アゲイン』のカセットテープ)の伸びやかな調べが新たな不穏と暴力を運んでくる様は出色!

この短評にはネタバレを含んでいます
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