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パトリオット・デイ (2016):映画短評

パトリオット・デイ (2016)

2017年6月9日公開 133分

パトリオット・デイ
(C) 2017 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

相馬 学

市井の人間の胸にしっかり響く対テロ群像劇

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ボストンマラソンを襲ったテロ事件の顛末を追いながら、市民がテロの衝撃とどう向かい合ったのかに迫る。そこから軸がブレない点が、まずいい。

 捜査陣と犯人の攻防はスリリングで、このところマーク・ウォールバーグと組んで実録ドラマを連打してきたピーター・バーグ監督のリアリティ重視の演出がサエる。とりわけ、キャラクターひとりひとりのキメ細かな描写が素晴らしく、息遣いが聞こえてくるようだ。

 ヒーローをひとりに特定せず群像劇のスタイルをとったことが、テロ対市民の構図をくっきり浮かび上がらせる。“テロと戦うための唯一の武器は愛”という、ともすれば上滑りしそうなテーマも、ここでは説得力をもって響く。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

テロに屈しないボストニアンの勇気を讃える!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

ボストン・マラソン中に起きた爆弾テロ事件の顛末を描く実話ものだけど、マーク・ウォルバーグ演じる刑事を実在の人物にしなかったのは物語に多少の誇張や創作を加えられるからだろう。とはいえ、犯人特定から逮捕に至るまでの当事者たちの活動や心境を丁寧に描き、徐々に緊張感を高めていく演出はピーター・バーグ監督らしい。リサーチも綿密さ。これは爆弾テロに屈せず、一致団結したボストニアンのスピリットを讃える映画なのだ。そのせいかテロリストの描写は画一的でだが、意外だったのが死亡した容疑者の未亡人。実際には共犯容疑が晴れた彼女を夫の反米思想に共鳴する存在として描くとは大胆! 

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

サスペンスとしても、群像劇としても見応えアリ。

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

実行犯、警察、被害者といった、テロ事件に関与した境遇の違う人々の人間ドラマをしっかり描いた前半パート。同じ実録モノをベースにしたバーグ監督×ウォールバーグの前作『バーニング・オーシャン』では見られなかった交通整理の巧さに、思わず唸る。事件後の展開は、サスペンス・アクションとしてのツボをしっかり押さえた演出が冴え渡り、ボストン市民が一丸となっていく様は、ロン・ハワード監督作にも近い熱量をも感じさせる。久しぶりに助演としてのJ・K・シモンズも堪能させてくれ、結果『トラフィック』『クラッシュ』級の群像劇に仕上がったといえるが、ラストの愛国心アピールがあまりにトゥーマッチすぎて、★マイナス。

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猿渡 由紀

あの事件の裏には数々のことが。知らなかった事実に驚愕の連続

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

アメリカに住んでいても、ボストンマラソン爆弾テロ事件については、「犯人は兄弟で、ひとりが死んでもうひとりが捕まったんだよね?」という程度にしか知らない人が、結構いる。恥ずかしながら、筆者もそのひとりだったので、 とにかく驚愕した。アクションスリラーとしても非常に良く出来ており、飽きさせることがない上、最後には希望を感じさせる。アメリカでは近年、警察が市民(とくに黒人)を銃撃する事件が多発し、警察への批判が高まっているのだが、そんな中で、警察が正義のために全力を尽くす姿が描かれるのも、政治的意図はなかったとはいえ、興味深く感じる。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

メッセージ性の強い「事実」を「映画」としてどう扱うか

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

ピーター・バーグ監督&マーク・ウォールバーグ主演のタッグはこれで三作目だが、『バーニング・オーシャン』とはワンセットと言えそうな実録物の佳作だ。特に前半のリアリズムが素晴らしい。ボストンの街における多様な人間群像、犯人の特定に向けてのサスペンスなど、オーソドックスな劇映画の文法で構成しながら、随所に挿入されるオバマなど2013年当時の記録映像が浮き上がらないトーン&マナーがお見事。

後半も堅実な演出がキープされ、「本物」の方々が登場して証言する流れへも抑制が利いており、どこか『ハドソン川の奇跡』の慎ましさと響き合っている気がする。役者では「静」に徹したケヴィン・ベーコンがめっちゃいい!

この短評にはネタバレを含んでいます
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