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歓びのトスカーナ (2016):映画短評

歓びのトスカーナ (2016)

2017年7月8日公開 116分

歓びのトスカーナ
COPYRIGHT (C) LOTUS 2015

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

森 直人

誰かが押した「失格」の烙印をぶっ飛ばす

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

この映画は、あらゆる人物を「評価」の目線で見がちな我々に自戒を促すところから物語を起動させているように思う。施設から脱走したWヒロインの狂騒はアクが強い。他人に迷惑をかけまくる。しかし次第に彼女たちの「魂の旅」に胸の奥が熱くなる。ドナテッラが養子に出された息子にこっそり会いに行くくだりは涙腺崩壊!

本来、人間はどのように生きてもいい――そんな理念に基づき、制度からの解放を謳ったのが米ニューシネマだった。本作は『カッコーの巣の上で』等を正統的に受け継いで(『テルマ&ルイーズ』を連想させるのもこの文脈故だ)、イタリア社会のある種の寛容性の上にドラマを成立させている。久々の王道ルーザー映画の秀作!

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

心を病んだ女性たちの天衣無縫な癒しのロードムービー

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 精神病の治療施設というと、暗くて閉鎖的な場所を思い浮かべるが、本作の舞台となるのは避暑地の別荘みたいな美しいヴィラ。実際、イタリアでは日本にあるような精神病院は既に撤廃されているのだそうだ。
 なぜなのか?本作を見て、その理由の一端が分かったように思う。人間は誰もが、もともと理性と狂気の両面を併せ持っている。精神病患者というのは、なんらかの原因でそのバランスが崩れてしまっただけ。そういう考え方が根底にあるのだ。
 本作のヒロインたちも同様。施設を抜け出した彼女らの天衣無縫な大冒険を通して、愛に飢えた女性たちの孤独と哀しみが浮かび上がる。人は誰だって幸せになる権利があるのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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