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密偵 (2016):映画短評

密偵 (2016)

2017年11月11日公開 140分

密偵
(C) 2016 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

中山 治美

優秀な監督は、安易な抗日映画ブームにのらない

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

一見、流行の日本統治下モノ。
だがパク・チャヌク監督『お嬢さん』も本作のキム・ジウン監督も、
観客にカタルシスを与えるような安易な抗日映画にしていないところに映画作家としての矜持を感じる。
それも歴史の一部と捉え、
「義烈団」VS.日本警察が攻防戦を繰り広げる中、生き抜くために日本警察の部下となった主人公の葛藤を描く。
『ラストスタンド』のジウン監督らしくアクション多めだが、逆に言えば、シリアスな題材でも、
極上の娯楽サスペンスに仕上げてしまう腕を持っているのが韓国映画界の逞しいところ。
ソン・ガンホに触発されるかのように異彩を放つオム・テグらの熱演も作品をグレードアップさせたと言えるだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

日韓の歴史の1ページを学べるエンタメ作品

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

帝国日本統治下の韓国で独立運動団体<義烈団>の撲滅を命じられた日本人名を持つ韓国人警官の揺れる心情をソン・ガンホが丹念に演じる。身の保身が最優先でイデオロギー的に曖昧な男に見えるが、徐々に愛国に覚醒していくのがわかる。微妙なさじ加減が素晴らしい。独立運動の闘士に残虐な拷問を加える警務局部長はカリカチュアされているが、長いものに巻かれたほうが得策と考える韓国人の存在もきっちり描いていて日本嫌悪に終始しない監督のリベラルさが伝わる。爆弾移動中のスリリングな攻防などはエンタメ性重視とはいえ、義烈団が実際に起こした事件からインスパイアされた歴史ドラマなので日韓の歴史の1ページを学びました。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

裏切り者は誰なのか。正攻法のスパイ・サスペンス

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 正攻法のスパイ・サスペンスの面白さがたっぷり。裏切り者は誰なのか。どんな罠が仕掛けられているのか。そうしたスパイ映画ならではの裏切り合いのドラマがスリリングに展開。その背後に、誰を信じるのか、なぜ信じるのかという、各人の心理ドラマが描かれていく。そして、それらの出来事の中で、日本警察の密偵として働く主人公の意識が変化していく、人間ドラマでもある。
 監督は「ラストスランド」でハリウッドに進出したキム・ジウン。彼のホラー映画「箪笥」も美術で魅了したが、今回も1920年代、モボ、モガの時代の服飾や装飾が美麗に作り込まれ、映像に豊穣な香りを加えている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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