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パーティで女の子に話しかけるには (2017):映画短評

パーティで女の子に話しかけるには (2017)

2017年12月1日公開 103分

パーティで女の子に話しかけるには
(C) COLONY FILMS LIMITED 2016

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.4

なかざわひでゆき

青春映画とカルト映画の魅力を併せ持つ愛すべき作品

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ポップでチャーミングでヘンテコな映画である。モテないパンク少年とキュートなエイリアン少女の異文化交流的ラブストーリー。大人への反発と自由への逃避行を描いたストーリーは思いっきりベタだけど、キッチュな英国的ユーモアセンスに満ちた独特の語り口は楽しく、なかなか愛すべき作品となっている。
 言うなれば、瑞々しい青春映画とシュールなカルト映画の融合といったところか。あえて狙ったチープな’70年代的レトロ・フューチャー感も、なんだか『ロッキー・ホラー・ショー』の続編『ショック・トリートメント』やメナハム・ゴーランの悪趣味ミュージカル『アップル』みたいで微笑ましい。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

やっぱり初期パンクはサブカル中二病アイテムの王道ですな

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

冒頭の「オレの部屋」感一発で持っていかれる。ダムドやピストルズの周りにエディー&ザ・ホット・ロッズがあり、米のラモーンズやストゥージズにも補助線が引かれ……という主人公の自室の壁は『スクール・オブ・ロック』の黒板のごとき、ロンドン・パンクをめぐる系図だ。ニール・ゲイマンの短~い原作がパンク・ロックのおもちゃ箱的な映画に転生!

ニナ・ハーゲン仕様のN・キッドマン扮する姐御は伝説のブティック「SEX」出身か?など妄想が広がる設定・小ネタ満載。そこに「パンクを知らない女の子」として登場するエル・ファニングが「いま」との回路をつなぐ。『バーバレラ』チックな珍品SFでもあり、稚気全開の可愛い佳作。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

誰もが感情移入できる映画ではありません

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

タイトルは原作どおりだから仕方がないとして、やはり映画となるとタイトルと内容のギャップが際立つ。そのギャップがうまく作品としての皮肉や、純粋な思いにつながっていればいいが、そうならないもどかしさ。

主人公2人は文句なくかわいいし、音楽も効果的。エイリアンのヘンテコ集団プレーも苦笑を誘い、映像も躍動感あり……と、各要素は完璧なのに、ここまで胸に迫ってくるものが少ない映画も珍しい。痛いほど共感できる人がいるのは、頭では理解できる。でも断言します。映画全体のノリについていけず、アウェイ感を味わう人も多いはずだと。肝心のパンクの精神もお飾り的なのが『ヘドウィグ』と違って残念でならない。

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

カルト化必至!SF×パンクのケミストリーで躍動する恋の逃避行

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

単なるファッション&サウンドのセンス抜群なラブロマンスにとどまらない。異星の美少女ザンとナードな少年エンの出会いは〈SF×パンク〉の化学反応をもたらし、大人や組織の論理という抑圧に対する抵抗の詩へと昇華していく。ライブ感が漲り、映画そのものが生きもののように躍動している。乳白色のエル・ファニングには、性や人種を超越した神々しくも愛らしい“宇宙人”という響きがよく似合う。ニコール・キッドマンの鋭利な存在感がスパイスだ。ザンとエンの逃避行は、ヘドウィグ同様にカルト化必至の道筋を辿ることだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

ボーイ・ミーツ・エイリアン

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

恋愛音痴なパンク少年という主人公エンの設定がまず可愛い。そんな彼のハートを射抜く少女ザンは名前もファッションも限度も風変わりだけど、二人の恋は猪突猛進。反抗を合言葉に立ちはだかるハードルを次々と超えていく初恋力にニンマリ。ザンたちがロンドンにいる理由や奇妙すぎる家族関係に関する説明は一切ないので、そういう点では収まりが悪いが、パンクやジャーマン・プログレをBGMとしたボーイ・イーツ・ガールものとしての魅力は半端なし。エル・ファニングはゲロを吐いても可愛いし、ニコール・キッドマン演じるビビアン・ウエストウッドに愛憎を抱く女性のパンクなクルエラ・デビルといった感じのファッションや卒女な台詞に爆笑。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

エイリアン同士のちっちゃい、しかし愛しき反抗

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 エイリアンの女の子とパンク少年の恋。1977年のロンドンではパンクスだって大人に異星生物のように見られていたわけだから、エイリアン同士の恋とも言える。その女の子も同胞の理不尽な規則に反発を覚えるので、ある意味パンクだ。

 愛らしい青春ラブストーリーではあるが、そんな視点から見ると彼らは同士的にも写る。それぞれの“反抗”が彼らを結びつけたと思うと、この映画のテーマも味わい深くなる。

 とはいえ重い話ではなく、語り口はファンタジー風でコミカル、そして切ない。エイリアンすなわち、はみ出し者たちに向けたミッチェル監督の温かいまなざしは、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』から変わっていない。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

ステキな女の子はいつだってエイリアン

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 エル・ファニング扮するエイリアンの女の子が超カワイイので、それだけでOK。映画と同名の原作小説に描かれた"女の子が異星人に見えたあの頃のときめき"が、映画でも表現できているのは、このヒロインがまさに別の惑星から来た魅力的な存在の形をしていて、そのように動いて話すからだ。名手サンディ・パウエルによる、エイリアンたちの70年代式未来のファッションも楽しい。
 原作の作者は「アメリカン・ゴッズ」「コララインとボタンの魔女」なども映画化されている小説家&コミック作家ニール・ゲイマン。彼のコミック「サンドマン」はジョセフ・ゴードン=レヴィットが監督するとのニュースがあったが、その進捗も気になる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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