星めぐりの町 (2017):映画短評
星めぐりの町 (2017)小林稔侍の渋い佇まいに見る、古き良き日本のお父さん像
黒土三男監督の久々の新作。『蝉しぐれ』で日本アカデミー賞を席巻しておきながら、それ以来12年間も映画を撮っていなかったわけだ。まあ、あくまでもテレビの脚本家が本業だし、映画監督としてもともと寡作な人だけど、それにしてもこれだけのブランクが開いてしまうというのは、ベテランにチャンスの少ない邦画界ならではの現象のようにも思える。
それはともかくとして、昔気質の寡黙な豆腐職人と震災孤児の少年の心の交流に、3.11後の日本人の心象風景を重ね合わせた本作。古風な大衆向け人情メロドラマといった印象で、ベタなストーリーや演出は評価の分かれ目だと思うが、日本のお父さん的な小林稔侍の渋い佇まいは捨てがたい。
この短評にはネタバレを含んでいます