シネマトゥデイ

シネマトゥデイ

火のような前作の鋭さから、水のごとく緩やかな流れに

  • 海を駆ける
    ★★★★

    ディーン・フジオカ扮する謎の男は、深田晃司印の「闖入者」ではあるのだが、『歓待』の古舘寛治や『淵に立つ』の浅野忠信とは異なり優しい存在。暴力ではなく、融和(監督自身の言葉でもある)を場にもたらす者だ。それは監督がインドネシアのバンダ・アチェという土地にインスパイアされた世界観ゆえの反転なのだろう。

    日本からアチェへ、3.11の記憶、漱石の「月が綺麗ですね」のロスト・イン・トランスレーション等を軸に共振と変容の回路が敷かれ、その意味で本質的に「バカンス」の映画だと思う。アジア的霊性はタイのアビチャッポンと響き合うものを感じた。太賀は続く『50回目のファーストキス』と併せて観るとさらに驚嘆!

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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「週刊プレイボーイ」「Numero TOKYO WEB版」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。

近況: BSスターチャンネルの無料放送番組「GO!シアター」、8月は『バンクシーを盗んだ男』『オーシャンズ8』『タリーと私の秘密の時間』についてコメントしています。執筆参加した『世界のカルト監督列伝』『鬱な映画』『漫画+映画!』『新世紀ミュージカル映画進化論』『究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10』(いずれも洋泉社)が発売中です。

サイト: http://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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