絹の手触りにフェティッシュな悦楽が宿る

2018年5月23日 平沢 薫 ファントム・スレッド ★★★★★ ★★★★★

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ファントム・スレッド

 ざっくりまとめると、長い年月をかけて自己完結したつもりになっていたオタクが、想定外のところからその完結を崩されそうになるが、そうなってみたらそれも意外と悪くなく、完結したままでその悪くない状態も味わうことを考え、その結果陥る状態は第三者から見たら変態なのだが、本人は満足する。そういう話。思い当たる節のある人なら、見ないわけにはいかない物語だ。
 魅惑的なのは、1950年代のファッションデザイナーであるそのオタクが彼の完璧な世界の具現化として縫製させる衣装の数々。その優美さは50年代のバレンシアガ風。厚手の絹の冷たい手触り、縫い糸の繊細さを捉えた映像がフェティッシュな悦楽を与えてくれる。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「ザ・ループ TALES FROM THE LOOP」@Amazon Prime の世界が静かで寒くて切ない。クリエイター・コンビの一人は、ディストピア画集「エレクトリック・ステイト」のシモン・ストーレンハーグ。もう一人は「レギオン」「アウトキャスト」の脚本家ナサニエル・ハルパーン。この2人にピンとくるなら必見。

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