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愚かさと可笑しみを包む神々しさに達したホン・サンス映画の境地

2018年6月13日 清水 節 それから ★★★★★ ★★★★★

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それから

 あらゆる映画が作為的に思えてくるほど、ホン・サンスの描く男と女は、ありのままであからさまだ。たわいない会話、痴情のもつれ。上昇することなく、ただぐるぐると、ありふれたみっともない行状を繰り返し、その円環が閉じることはない。高名な評論家にして出版社社長である中年男は、高等遊民よろしく、どこか浮遊する存在。女性を前にして、打算に満ち情けないその言動は、監督自身の自虐的な自画像であるばかりでなく、ほぼすべての男性性の正体であろう。露わになる男女の本性と対照的なのが、諍いから距離を置くキム・ミニの圧倒的な美しさ。愚かさと可笑しみを包む神々しいまでの眼差しは、螺旋を天空から見下ろすかのようだ。

清水 節

清水 節

略歴:映画評論家/クリエイティブディレクター●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」出演●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX●「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書: 「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●映像制作: WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞(芸術番組部門)、ギャラクシー賞(奨励賞)、民放連最優秀賞(テレビ教養番組部門)受賞

近況:●「シン・ウルトラマン」劇場パンフ執筆●ほぼ日の學校「ほぼ初めての人のためのウルトラマン学」講師●「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」劇場パンフ取材執筆●特別版プログラム「るろうに剣心 X EDITION」取材執筆●「ULTRAMAN ARCHIVES」クリエイティブディレクター●「TSUBURAYA IMAGINATION」編集執筆

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