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女と男の観覧車 (2017):映画短評

女と男の観覧車 (2017)

2018年6月23日公開 101分

女と男の観覧車
(C) 2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.2

相馬 学

K・ウィンスレットの狂い咲き大熱演は必見!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『欲望という名の電車』を引き合いに出して語られた『ブルージャスミン』以上に、W・アレン作品としてはテネシー・ウィリアムズ色が強い。

 袋小路に陥ってしまう人々の物語はもちろん、長いセリフの応酬も舞台劇スタイル。とりわけ、激情と嫉妬と狂気が入り混じるヒロインの凄みは印象に残る。ほとんど独り舞台といった感じの、クライマックスのケイト・ウィンスレットが凄い。

 アレン作品としてはユーモアは控えめだが、アレンの分身というべき少年の視点が効いていて、時に『大人は判ってくれない』的な詩情を感じさせる。彼の目に、母親は、そして劇中の大人たちはどう映っていたのだろうか。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

母子揃って、火遊びがやめられない、止まらない。

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

ひと回り以上離れた年下男との恋の火遊びに燃える人妻に、ガチの火遊びがやめられない連れ子。そして、なんとか釣り上げた妻に、愛情というエサを与えられない釣りバカ夫。そんな三者三様の想いが肝となる本作。既視感ある展開ながら、偏頭痛が治まらないケイト・ウィンスレットの深みある芝居に加え、前作『カフェ・ソサエティ』より映えるヴィットリオ・ストラーロの撮影に、おなじみサント・ロカスト担当の観覧車前にある自宅セットの美しさには、思わず息を呑む。とはいえ、夫の前妻との子が転がり込む冒頭やジャスティン・ティンバーレイク演じる年下男が狂言回しとなる“ウディ・アレン監督らしさ”が、若干空回りしてる感も。

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

こわれゆくケイト・ウィンスレットの凄みに魅せられて

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ウディ・アレンは“終わってない”どころか、更なる境地へと達した。50年代NYのリゾート地を背景に、くすぶった者たちの込み入った事情が舞台劇調に描かれる。生活に疲れ悔恨を抱く元女優が、劇作家志望の青年出会ってもう一度夢を見る。遊園地の観覧車は同じ場所を回り続ける人生を象徴するが、此処ではない何処かを求め降りようともがく姿が痛ましい。そして、こわれ始めるのだ。ヴィットリオ・ストラーロの撮影が、時代を再現するのみならず、色彩変化で心象風景を豊かに表す。中年のヒロイン、ケイト・ウィンスレットの崩壊演技は、代表作『レボリューショナリー・ロード』と並び、凄まじい。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

舞台劇を観ているような美しい照明と俳優の動き

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ウディ・アレン監督が集中したのは、「舞台」を映像に移すことだったのかもしれない。ポイントとなるシーンでの、背景のセットにおける人物の配置や、セリフ回しなど、舞台を意識した演出になっている。特筆すべきは照明で、演技を続ける人物の心情を使えるかのように色や方向が変わるライトは、撮影の名手ヴィットリオ・ストラーロの匠の技も重なって、陶酔を与える映像が完成された。ただし、ストーリー自体に新鮮味が少なく、予定調和の枠を出ることはない。重要なパートとなるヒロインの孤独感に、何かのきっかけで深く没入できたなら、深い余韻に包まれる可能性はある。とりあえず監督は「物語」よりも「スタイル」を優先した感が強い。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

コニーアイランドのビジュアルと音楽がいいニュアンスをプラス

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

1年に1本のペースで映画を作り続けるウディ・アレンは、アイデアには事欠かないものの、完成作は「良いものになったこともあるし、ならなかったこともある」と自分でも認めている。今作は、その真ん中あたりの存在か。決して彼の代表作にはならないが、最悪でもない。アラフォー女の勘違いを描くストーリーを引っ張っているのは、主演のケイト・ウィンスレット。いつもすばらしいウィンスレットは、ただイタイだけの女になりがちなこの役にも、きちんと奥行きを与えている。50年代のコニーアイランドを舞台にしたカラフルなビジュアルと音楽も、そうでなければ暗くなりすぎる話に、良い感じでファンタジーの要素をプラスする。

この短評にはネタバレを含んでいます
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