現代の競争社会に縛られない生き方を見つける爽やかな青春映画

受験に失敗した進学校の落ちこぼれ生徒が、気まぐれで入学した農業高校で図らずも将来の夢と希望を見出し、やがて少しずつ自立心に目覚めていく。北海道の雄大な自然を背景に、心温まる人間模様と絶妙なユーモアを散りばめた青春映画だ。
その一方で、むちゃくちゃハードな酪農作業の厳しい現実、そして日本の農業が直面する深刻な問題からも目を逸らさず、それでもなお現代の競争社会に縛られないマイペースな生き方を提唱する脚本は非常に好感が持てる。中島健人ら若手俳優たちの素直で自然な演技を引き出した吉田監督の演出も手堅い。
原作コミックもアニメも未見なので比べることはできないが、なんとも爽やかで愛おしい作品である。