榎田貿易堂 (2017):映画短評
榎田貿易堂 (2017)絶妙なキャスティングが魅せる、大人コメディ
とにかく、主人公・榎田を演じる渋川清彦の佇まいがジョン・ルーリー感ハンパないことから、ジム・ジャームッシュ風でもあるが、『男はつらいよ』風人情喜劇の要素も強い本作。近年、職人イメージが強かった飯塚健監督が、ここまで作家性が強い大人コメディを撮ったことには驚きだが、深夜ドラマで片鱗をみせていた、どうでもいい日常会話や間にこだわった脚本と演出が全編に渡って炸裂する! 伊藤沙莉ら、“最強の5人”をキャスティングできたことも、脱力系に見せかけて、しっかり芯が通った人間ドラマとして仕上がった勝因といえるだろう。量産されるご当地映画も、これぐらいの作家性&クオリティであって然るべきと思わせる一本でもある。
この短評にはネタバレを含んでいます