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タリーと私の秘密の時間 (2018):映画短評

タリーと私の秘密の時間 (2018)

2018年8月17日公開 95分

タリーと私の秘密の時間
(C) 2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

清水 節

若さと可能性/老いと現実を見据え、家族を救済するファンタジー

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 またしてもシャーリーズ・セロンが肉体改造して挑む秀作が誕生した。彼女が演じるのは、育児と家事に時間を費やし心身ともに疲れ切ったアラフォーの母マーロ。そこに現れる、謎めくベビーシッターの若き女性タリー。タリーの存在がマーロを甦らせていく。若さと可能性/老いと現実――そのコントラストによって、かつての理想と中流家庭の抱える問題が炙り出される。脚本家ディアブロ・コディの実体験に基づく空想を、ジェイソン・ライトマンは作劇上の仕掛けに生かし、現代社会の寓話へと昇華させた。あたかも2本の映画を観たかのような錯覚に囚われながら、家族が救済される光景に息を呑む上質の“ファンタジー”だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

これは平凡な毎日を真面目に頑張って生きている人へのエール

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 この映画、日本でも共感できるお母さん、沢山いるんじゃなかろうか。主人公は共働き家庭の40代妻モリー。難しい年頃の子供を2人抱え、家事に育児に仕事にと一人で奮闘している。過度の疲労とストレスで、心も体もパンク寸前。旦那は優しいけど家のことは妻に任せきりで、しかも鈍感なので彼女のSOSにもまるで気付かない。そこへ3人目が生まれたもんだから、いよいよ本格的に壊れかけてしまう。
 そんなモリーがメリー・ポピンズのように完璧な若いシッター、タリーに救われ、自分の人生を見つめ直していくところがストーリーのカギ。恐らく、平凡な毎日を真面目に頑張って生きている人ほど、励まされる作品なのではないかと思う。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

子育ての経験がなくても、きっと接点がある

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 子育てや主婦業の経験がなくても、いろんなことが完璧にできないと、自分にマイナス評価を与えてしまいやすいあなたなら、この主人公と接点がある。そして、いろんなことを一心にやっているうちに、ふと気づいたらある程度の年齢になっていて、あれ、こういう自分になる予定だったんだっけ?と思ったことがあるあなたも、きっと接点がある。そういう物語だけど、脚本が「JUNO/ジュノ」「ヤング≒アダルト」のディアブロ・コディで、主人公の言うジョークのセンスが辛口だから、ノリが暗くならない。
 ちなみにタリー役マッケンジー・デイヴィスがカッコよく、彼女が新「ターミネーター」のヒロイン役に抜擢されたのも納得。

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くれい響

ベビーシッターとアドベンチャー!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

18㎏増量の肉体改造で、疲れた主婦役に挑んだシャリ姐。カラオケで「コール・ミー・メイビー」を熱唱し、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のマリア・ベロと並ぶ、熟女コスプレを披露する姿に、フュリオサの面影は微塵もない! 年齢差を超えた女子の友情物語だけに、『午後3時の女たち』のベビーシッター版ともいえるが、肝となるのはマッケンジー・デイヴィス。『ブレードランナー 2049』の娼婦のミステリアスさを残しつつ、新『ターミネーター』ヒロインに抜擢された存在感は、ときにシャリ姐を喰うほど。ただ、『ヤング≒アダルト』監督・脚本・主演トリオ最新作としてハードルを上げると、オチに戸惑う恐れアリ。

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相馬 学

“I love us”と言える人生、そこに見る光

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 主人公が見る非現実を現実とクロスさせ、なおかつリアルに見せるという点ではギリギリのところを突いている作品。そのギリギリをどう判定するかは見る人次第だが、個人的にはストライクだ。

 理由は”ひとりで生きているのではない”というテーマにブレがないから。責任感の強さゆえに追い込まれるヒロイン。でも自分を追い込まなてくもいい。『ヤング≒アダルト』に引けを取らない加齢による“やつれ”を体現したシャーリズ・セロンの熱演は、それを信じ込ませるに十分だ。

 “私を頼って”――そう言ってくれる人の存在が重い意味を持つ本作。”I love you”ではなく、”I love us”というセリフに重みを感じる。

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森 直人

ロールモデルのいない世代・時代の子育て

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

シャーリーズ・セロン(本当凄い女優ですね)が体現する核家族ワンオペ育児のリアリズムは、まさに我々もよく知った“慢性人手不足”の光景。そこに美女タリーという最強のベビーシッターがやってくる。「夜間のメリー・ポピンズ」か? この素敵な謎キャラがファンタジーの含みを持たせる。総体的に頑張りすぎなお母さんの為の優しい寓話という印象。

監督ライトマン(77年生)×主演セロン(75年生)×脚本コディ(78年生)の同世代トリオは『ヤング≒アダルト』に続き、時代の抜本的な変化ゆえ適切な先行例を見つけ辛い“新しい大人”の不安を扱う。今回も真摯だが、夫とのパートナーシップにはもう一歩突っこんで欲しかったかな。

この短評にはネタバレを含んでいます
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