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LBJ ケネディの意志を継いだ男 (2016):映画短評

LBJ ケネディの意志を継いだ男 (2016)

2018年10月6日公開 97分

LBJ ケネディの意志を継いだ男
(C) 2016 BROAD DAYLIGHT LLC ALL RIGHTS RESERVED.

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

なかざわひでゆき

今なぜリンドン・ジョンソンなのか?

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アメリカの人種差別を禁止した公民権法と言えば、ジョン・F・ケネディを連想する日本人も多いだろう。確かに議会へ制定を求めたのはケネディだったが、しかし実際に法案成立のため尽力したのはリンドン・ジョンソンだった。本作では、その知られざる偉業に焦点を当てる。
 民主党における南部保守派の代弁者でありながら、しかし特定の地域や支持層の利益よりも国全体の未来像を考え、保守とリベラルの橋渡し役として公民権法成立を実現したジョンソン大統領。ロブ・ライナー監督にしては珍しくストレートな政治映画だが、その根底にはアメリカの分断が深刻さを増す昨今、彼のような存在が必要なのではないか?という強い想いがあるはずだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

印象が薄かった大統領に血が通った!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

JFKの暗殺後、大統領となったリンドン・ジョンソンの印象は非常に薄い。JFK未亡人ジャッキーの伝記映画でも田舎者扱いされていたし。本作は日陰の身だったジョンソン大統領の来し方や野望、政治力を丹念に描いていて、彼を見直す人も多いだろう。敵対する政治家との丁々発止のやり取りや深謀遠慮ぶりはまさにザ・政治家だし、公民権運動に反対していた強硬派をねじ伏せる姿には喝采を送った。前任者の人気が絶大すぎたとはいえ、実績面ではLBJの勝ち? W・ハレルソンが粘り腰の南部男を熱演する。政治素人を売りにするトランプ大統領が生む惨状を見ると、LBJのような手練手管に長けた政治家の登場が待たれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

空論かもしれないが、こんな政治家がいま必要ではないか?

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

米トランプ政権も、日本の安倍政権も、自分の意見に沿うものを側近に選ぶのは、たしかに人間として当然のことだろう。しかしジョン・F・ケネディは、同じ民主党でも自分と対立するジョンソンを、敵にするより仕えさせた方がいいと、副大統領に指名。この対立構図が、後に多大な成果に至るという劇的なうねりを、わずか97分で見せ切る演出に感心した。映画なので「美談」で描かれている部分もあるだろうが、忖度や駆け引きなど政治の裏側が生々しく伝わり、かつ政治家たちの心の弱さにもフォーカスして共感もさせる。そしてケネディ、ジョンソンが渾身の思いで撤廃しようとした人種差別が、半世紀を経ていまだ改善していない現実に震撼する。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

大統領が“愛されたい”と思っても、いいじゃないか!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ケネディ暗殺の衝撃も醒めぬうちに副大統領から合衆国大統領となったジョンソン。北部出身でリベラルなケネディの後を継いだ、南部出身・保守派の彼は、たださえ混乱した状況下で、より難しい立場に追い込まれる。そこにドラマを見出したのが本作。

 最大の懸案はケネディが推進していた公民権法案。人種差別の法的撤廃は南部議員の方針に反するが、それでもジョンソンは推し進めた。

 面白いのは彼の原動力を“愛されたい”という一心に置いたところ。タフな南部出身者のイメージが強い彼の、意外に脆い面にスポットを当てたことで人間味が出た。W・ハレルソンの好演もあり、周りが敵だらけの劣勢での戦いは熱を帯びる。巧い。

この短評にはネタバレを含んでいます
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