アンクル・ドリュー (2018)：映画短評

　金なし人望なしチームなしの負け犬バスケ・コーチが、伝説の名選手アンクル・ドリューとその仲間たちを集めて老人チームを結成し、ストリートバスケ大会で起死回生の一発逆転勝負に挑む。最大の見どころは、カイリー・アービングやシャキール・オニールら、特殊メイクで老人たちを演じる本物のNBAスター選手軍団。既に役者としての実績があるオニールはともかく、素人俳優とは思えない彼らの芸達者ぶりには驚かされる。ストーリー自体は簡単に先が読めるものの、愛情溢れる人間模様とパンチの効いたユーモアが魅力。アイズレー・ブラザースをノートリアス・B.I.G.と勘違いしてひと悶着するなど、音楽ネタの世代間ギャップにもニヤリ。

トラウマを抱えたぽっちゃり体型青年ダックスがストリートバスケ界で起死回生を狙う、という設定から予想できる展開通りに進む安心コメディ。彼とタッグを組む老人ドリューの人生の来し方を再訪するくだりもニンマリさせるし、ダックスの成長もわかりやすく、すべてがポジティブ。見終わって、気分爽快になるのは間違いない。凝った特殊メイクで老人に扮した現役選手Ｋ・アーヴィングはじめ、元ＮＢＡ選手やＷＮＢＡの伝説リサ・レスリーが披露する華麗なプレーにうっとり。さらに演技方面でも実力発揮するのはうれしい驚きだ。とはいえシャックは相変わらずの大根!?　ただ『カザーン』を使った自虐的ギャグで笑いを取ったので座布団１枚追加。

ほとんどのキャストは、元、あるいは現役のバスケットボール選手。試合のシーンに迫力があるのは当然だが、意外なのは、彼らには、演技も、歌も、踊りもできたことだ。さらに、ユーモアのセンスもたっぷり見せる。仲間内だけでウケている映画はしらけるものだが、これは逆に、楽しさがこっちまで伝染してくるのだ。
　ストーリー自体は、若者対年寄り、負け犬が挽回をはかる、というもので、何も新しくはない。実際、展開はすぐ読める。もともとがペプシのウェブ動画から始まっていることに偏見や抵抗をもつ人もいるだろう。だが、そういうことはあえて忘れて、素直に楽しむことをおすすめしたい。