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ワン チャンス (2013):映画短評

ワン チャンス (2013)

2014年3月21日公開 104分

ワン チャンス
(C) 2013 ONE CHANCE, LLC. All Rights Reserved.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

くれい響

パヴァロッティにダメ出しされて…

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

 オーディション番組出身というと、まぐれのPD(ポッと出)のイメージが強いかもしれないが、本作のポール・ポッツは決してそうではなかったことをしっかり描いている。彼はヴェニスのオペラ学校に留学し、声楽を学び、その後、とんでもない挫折を味わう。学校の知事で憧れのパヴァロッティに「君はオペラ歌手になれない」と最悪のダメ出しをされるのだ。事実とはいえ、ポッツの才能を見抜けなかったパヴァロッティを軽くディスってるようにもみえるこのシーンは見せ場のひとつだ。
 デヴィッド・フランケル監督が『マイアミ・ラプソディー』以来、得意とするラブコメ・パートも含め、単なるサクセスものの枠にとらわれない作りも好感触。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

成功物語でも美談でもない、でも愛すべき庶民派の伝記

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 伝記ドラマだからベタな感動作にも熱血根性物語にも出来たはず。それをあえて避け、英国映画ならではの庶民派コメディに仕上げた点に好感が持てる。

 イジメラレっ子の悪戦苦闘や、ケータイ販売店の上司とのやりとり、結婚に至るまでのドタバタに加え、交通事故に遭うエピソードまでジョークにしてしまう徹底ぶり。ポール・ポッツという人間の不器用さをデフォルメし、不器用さゆえに愛すべきキャラクターを作り出した。そこが本作の巧いところ。

 “泣き”のポイントも心得ているが、そこにポッツの美しい歌声が重なることは言うまでもない。美談に走らず、ハメを外さず。そのバランスがイギリス映画的で心憎い。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

爽やかな後味を残すサクセス・ストーリー

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 まずは、ポール・ポッツ役にブロードウェイ俳優ジェームズ・コーデンという逸材(歌声はポール自身による吹替え)を得ることができた事実は大きい。見るからに人が良さそうでヌイグルミのようにチャーミングな彼は、失礼ながら本人よりも映画的にはずっと魅力がある。この配役だけでも、本作の成功は半ば約束されたに等しいと言えよう。
 さらに、オペラとは無縁な労働者階級の町に生まれ、内気な性格と肥満体型を理由に子供の頃から苛められ、理解者は母親と妻だけという逆境の中、愚直なまでに夢を追い続ける彼の姿に強く共感。結末の分かりきったサクセス・ストーリーだが、明朗で楽天的な語り口が爽やかな後味を残す小品佳作となった。

この短評にはネタバレを含んでいます
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