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クリード 炎の宿敵 (2018):映画短評

クリード 炎の宿敵 (2018)

2019年1月11日公開 130分

クリード 炎の宿敵
(C) 2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

ライター8人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

森 直人

30数年越しの「リアルフィクション」

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『クリード チャンプを継ぐ男』は洗練された傑作。対してこの続篇は泥臭い。だが『ロッキー4/炎の友情』の弔い合戦として「正解」だと思う。かつてシリーズ最高興収を記録しながら、批評的には惨敗してラジー賞を席捲。しかし公開当時10代だった世代の筆者には、サバイバーやJBの曲と共に記憶に残る「ベストヒット80年代洋画」だ。

今回の物語的な白眉はドラゴ父子を巡る過酷な運命だろう。D・ラングレンに加え、ドラゴ夫人かつスタローンの元妻でもあるB・ニールセンも再登場。この虚構と現実の複雑な絡み合いは、『あしたのジョー』で力石徹の葬儀を行った寺山修司的感覚を発動させられる。ますます破格のシリーズになってきた!

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

ドラゴ親子の主演でスピンオフを希望!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アポロの息子アドニスが、かつて父親を殺した旧ソ連のボクサー、ドラゴの息子と対決する。このプロットだけでも『ロッキー』ファンなら感慨深いことだろう。東西冷戦の終結から約30年、対ロッキー戦の敗北で地位も名誉も失い、妻にまで見限られてしまったドラゴは、すっかり偏屈で疲れたオッサンになっている。そんな彼が自ら厳しく鍛え上げた息子ヴィクターを、いわば汚名挽回のための道具として使い、アドニスを打ち負かそうとけしかけるわけだ。屈折した父親の復讐心に疑問を抱き始めるヴィクター。ロッキー&アドニスのドラマよりも、気付けばこちらの複雑な親子関係に感情移入してしまう。是非ともドラゴ&ヴィクターでスピンオフを!

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山縣みどり

奇妙にして複雑な“宿命”に大興奮

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

冷戦の雪解けを感じさせた『ロッキー4/炎の友情』だが、敗残者ドラゴの胸には屈折した思いが澱のように溜まっていたという設定がいい! 戦闘マシーンに育て上げた息子をかつてリングで殺した男の息子に挑ませるなんてドラゴの歪んだメンタルも物語を盛り上げる。試合の流れやセコンド陣などはボクサーとしての矜持が心にしみた『ロッキー4』を踏襲しつつ、父子の愛情をからませる展開がいかにも本シリーズらしい。おセンチ上等! もちろんヘビー級の試合は迫力たっぷり。前作よりバルクアップしたM・B・ジョーダンと超マッチョなF・ムンテアヌが繰り広げる死闘は目を覆うほどで、パンチの応酬を見てるだけでも痛さが伝わってくる。

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相馬 学

父子、家族の物語に帰結する前作に劣らぬ熱血作

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アポロの息子を撮りたいという監督の熱意から始まった前作からの監督交代にに一抹の不安はあったものの、それを吹き飛ばすドラマのアツさにグっとくる。

 『ロッキー4~』から続く因縁の対決というファンには嬉しい設定で引き寄せつつ、最終的に主人公アドニスをはじめとするキャラクターたちの成長に帰結するのがドラマ面の面白さだ。

 脚本を兼任したスタローンが前作以上に深く関わっているが、宿敵のドラゴ父子を含め、すべての主要キャラクターに親子、家族の絆を投影している点が彼らしいところ。せっかくなら、『ロッキー・ザ・ファイナル』でイイ味を出していた彼の息子を登場させて欲しかった……というのは欲張り過ぎか。

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くれい響

タオルを投げるな!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

33年前、ロッキーに敗北したことで、国辱的存在となり、すべてを失ったドラゴが泣かせる。ブリジット・ニールセン演じる元妻との再会シーンは、胸ぐらを掴まれるほどせつない。とはいえ、親子揃って『エクスペンダブルズ』状態な男ほど怖いものはなく、ロッキーとの再会シーンは、ほぼホラーだ。そして、『スター・ウォーズ』同様、“歴史は繰り返す”展開になり、地獄の特訓比較、アウェー会場での試合と、観たいものをしっかり魅せてくれる。『ロッキー4/炎の友情』愛が強い人間としては、MTV風で90分にまとめるのもアリかも?と思うが、本作はあくまでも『クリードⅡ』。それを念頭に置けば、いろんな見え方ができるはず。

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斉藤 博昭

シリーズのスピリットは存分に受け継がれている

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

前作『クリード チャンプを継ぐ男』での、リング上の驚異的なカメラワークや、あの『ロッキー』のテーマ曲が流れる瞬間の異様な高揚感は、今回はやや抑え気味。全体に演出や展開はオーソドックスだが、前作および『ロッキー4/炎の友情』を総括する物語として、全シリーズのスピリットは存分に込められている。アドニス側とヴィクター側のドラマのバランスにも、作り手の苦心が見てとれる。「王者であることの恐怖」「いま戦わなければ、何者でもなくなる」というボクサーの本質を突き詰めるセリフも効果的で、地獄の猛特訓など、いい意味での「やり過ぎ」な描写も、シリーズファンにはうれしい……と、基本的に期待に応える要素は万全である。

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平沢 薫

いくつもの父と子の物語が交差する

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 父親と息子、親と子のドラマが熱い。最初からシリーズの人気登場人物アポロの"息子"が主人公の物語なので、親子の物語なのは当然なのだが、そのドラマが主人公だけでなく、ロッキーについて、そしてかつてのロッキーの敵ドラコとその息子についても描かれて、さまざまな親と子の形が浮かび上がっていく。さらに主人公は子供の父親にもなり、息子であることと、親であること、その両方を経験することになる。
 そのように人生が変化していく中で、主人公にとってボクシングをするということの意味は、どのように変わっていくのか、それとも変わらないのか。予想以上にリングの外でのドラマも濃い。

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猿渡 由紀

「ロッキー」を見ていない女子も心配無用

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

「クリード」がすばらしいのは、「ロッキー」をきちんと継承していながら、いかにも今の時代ならではのリアリティと新鮮さがあること。それは、黒人が主人公の物語を、若く優秀な黒人監督が撮ることから生まれている。1作目でも心に響いたアドニスとビアンカの恋は、今回、さらに感動的に。あのキュートなプロポーズシーンは、全女性を興奮させるはず。今回の敵は「ロッキー4」に出てきたドラゴとその息子だが、あの映画を見ていなくても入っていけるので心配無用。ドラゴの描かれ方自体も、30年前よりずっと複雑で共感できるようになっている。もちろんボクシングシーンも迫力満点。3作目が今から楽しみ!

この短評にはネタバレを含んでいます
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