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チワワちゃん (2019):映画短評

チワワちゃん (2019)

2019年1月18日公開 104分

チワワちゃん
(C) 2019『チワワちゃん』製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

山縣みどり

ミレニアルズのパワーに気圧されるしあわせ

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

「最近の若者は!?」なんて言う大人にはなりたくなかったのに、実際は口走ってる? 誰もがいつの間にか社会と折り合いをつけるわけで、本作に登場するのはその微妙な時期を迎えた若者。“楽しい今”を過ごしつつも、無策な自分にイラついたり、自由に生きている(ように見える)他者に嫉妬したり。その気持ち、わかるよ〜。稀薄に見えながらも濃密だったり、逆だったりという人間関係の真髄に触れた瞬間、これが普遍的な物語なのだと心中でうなった。岡崎京子の思いを掴み取り、自身の哲学を加えた二宮健監督の手腕が素晴らしい! 門脇麦や村上虹郎を筆頭とする若手役者が醸し出す空気感も圧巻で、ミレニアルズのパワーに気圧された。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

岡崎京子作品をあの時代から解き放つ

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 岡崎京子作品は、発表された時代の空気を敏感かつ鮮やかに捉えているために、同時代に読者だった者には、作品に流れているものがあの時代固有のものなのか、それとも普遍的なものなのか、判断するのが難しい。そのモヤモヤをバッサリ断じてくれるのが本作。そのために使われる飛び道具がイーディ・セジウィック。アンディ・ウォーホルのファクトリーの常連で、60年代NYを象徴するアイコンだ。登場人物たちが集うバーの店名が"セジウィック"で、壁に彼女の巨大な写真があるのは映画オリジナルの設定。彼女の顔がドラマの背後で何度も画面に現れて、そのたびに"時代の象徴でありつつ普遍的なものであることは可能だ"と宣言してくれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

岡崎京子の思いを現在に変換する演出の挑戦、役者の佇まい

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

『リバーズ・エッジ』では原作と同様に時代設定は明言されないものの、原作が描かれた90年代のムードが意識されていた。しかしこの『チワワちゃん』ではSNSも多用され、明らかに舞台は「現在」ながら、カルチャーやファッション、登場人物たちの佇まいに、さりげなく90年代へのノスタルジーを感じさせる。原作との時間の壁を軽やかに取り払ってる感覚が巧妙だ。濃密だと思っていた関係が、じつは冷ややかだったり、上っ面と本音の微妙な境界線は門脇麦、村上虹郎あたりが的確に表現し、岡崎京子の世界を伝えている。自在なカメラワークや編集、音楽でカオス状態となる何ヶ所かの演出も最初は違和感があるが、じわじわ心地よくなっていく。

この短評にはネタバレを含んでいます
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