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ふたりの女王 メアリーとエリザベス (2018):映画短評

ふたりの女王 メアリーとエリザベス (2018)

2019年3月15日公開 124分

ふたりの女王 メアリーとエリザベス
(C) 2018 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3

なかざわひでゆき

史実をヒントにしたファンタジーとして見るべき

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 これまで幾度となく映画化されたメアリー・スチュアートとエリザベス1世の物語を、現代的な解釈を大胆に交えて描く。どちらも男社会の理不尽なルールに苦悩しながらも、それに徹底して抗おうとしたメアリーと男以上に男らしく振舞うことを選んだエリザベス。お互いに友情と共感を覚えつつ、しかし考え方と立場の違いゆえ対立せねばならなかったというわけだ。このフェミニズム的な着眼点が興味深く、歴史に詳しくない観客でもすんなり感情移入できるだろう。ただ、おとぎ話ならともかく16世紀の英国宮廷ドラマに黒人やアジア人の貴族がいるのは明らかに不自然で、いくら多様性を尊重した現代的解釈とはいえ、さすがにこれはやり過ぎである。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

女王には国と添い遂げる覚悟が必要なのですね

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

未亡人となって故国に戻ったメアリーの「私こそイギリスとスコットランドの女王」との権利主張には、「はぁ?」となる。フランスかぶれの小娘に既得権を振りかざされてもね。しかし、あまっちょろい選択を続ける彼女が裏切りに翻弄される姿には思わず同情。男が支配する世界で女王として君臨するのは簡単じゃなく、力がものを言う状況で女性がサバイバルするには非情な決断も必要と実感する。社会で活躍する女性はナイーブなメアリーを反面教師にすべきというJ・ルーク監督の狙い? 信頼できる重臣や深謀遠慮を駆使し、男どもに手綱を握らせずに見事に立場を守りきったエリザベス1世の、国と添い遂げた覚悟を思い知りました。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

ふたりの女王、ふたつの女優魂

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 歴史物だが、描かれるのは歴史よりも2つの女性像。現在の視点に立ち、女王2人をそれぞれ異なる価値観を持つ若い女性として捉え直す。どちらの女性も自分の感情を無視しない。2人の比重は同等。拮抗する2人を、善悪でも勝敗でも描かない。
 しかも、女王2人を演じるのは、勢いに乗る人気女優2人、「レディ・バード」のシアーシャ・ローナンと、「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」のマーゴット・ロビー。メアリー女王はエリザベス女王の9歳年下だったが、演じるローナンはロビーの4歳下で、同世代。女王2人のそれぞれ異なる生き方に、女優2人それぞれの個性と熱演が重なって、二度オイシイ。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

ローナンとロビーが最高に光る、女性視点の歴史ドラマ

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

16世紀という時代に、権力を持って生まれた従姉妹同士のふたり。それでも、いや、だからこそ、彼女らの人生は厳しかった。ただの“女王”としてでなく、メアリーとエリザベスのそれぞれの選択を女性監督の視点から描く今作には、普通の歴史ものとちょっと違う新鮮さがある。ただ、黒人やアジア人をわざと出してきたのはやや疑問。多様であるがために多様にするというのは、本来の目的に必ずしもそぐわないのではと思うのだ。それでもその意図はすばらしいし、何より彼女は、ローナンとロビーという女優たちが才能をぞんぶんに発揮できる役を与えた。彼女の“多様性”への貢献は、そっちにある。

この短評にはネタバレを含んでいます
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