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麻雀放浪記2020 (2019):映画短評

麻雀放浪記2020 (2019)

2019年4月5日公開 118分

麻雀放浪記2020
(C) 2019「麻雀放浪記2020」製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3

清水 節

プロデュースと宣伝戦術が「中身」を上回る、平成最後の珍品。

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

アナーキーさは大いに買おう。70年代を彷彿とさせる危うさ/いかがわしさは、東映の面目躍如。しかし冒頭に提示される、この国に訪れてもおかしくない設定上の「毒」は後景に追いやられ、何やら長いコントを観ているような事態へ向かっていく。奇抜な脚本に引きずられ、演出は機能不全。人間の愚かさが生む笑いとは異なるバカバカしさは、硬派な白石演出にそぐわないようだ。いつしか原作が「麻雀放浪記」である必然性も失われていく。炎上商法的に宣伝をスタートさせ、試写会も開かず、公開直前に起きたガチな事件さえも興行的要素に呑み込み、ネット民さえも味方つけた“博打”ともいえるプロデュースと宣伝戦術は、稀に見る快挙ではある。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

面白かったか、そうでなかったか。判然としない後味だが…

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

主人公・哲が1945年から2020年にスリップするが、レトロな浅草や自由奇抜な作りのせいか、その中間で『麻雀放浪記』製作の1980年代あたり、昭和最後の空気感が漂う。平成最後のキャストの不祥事が作品の別の部分でダブったり、意識的/無意識的に「時代」に寄り添う作品とも。iPhone全編撮影の挑戦は、セットとロケの映像の差異が少ないなど思わぬ効果が。
設定が設定だけに、気恥ずかしい描写や苦笑ネタも多いが、ダラダラせず、一瞬で哲の苦闘に切り替わるなど、テンポとバランスが◎。戦争&東京五輪中止の部分はあまり生きず、見せ場の盛り上がりに欠けるためか、面白かったか、そうでなかったかはやや判然としない。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

ただのリメイクではない設定に主張あり

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ありがちなリメイクやリブートではなく、原作の用い方はかなり特殊で、そこにすでに主張がある。基本設定は、原作小説や'84年の映画「麻雀放浪記」で描かれた主人公、1945年の戦後を生きる20歳の博打打ちが、そのままの精神構造で2020年の東京にタイムスリップしたら、というもの。彼はどんな人々に出会い、何をして、何を思うのか。それをカラフルな色彩とコメディのタッチ、強烈なキャスティングで描く。
 A.I.とのゲーム対戦、オンラインゲーム、コスプレ系飲食店など今の日本の文化や風俗が満載な一方で、'84年の映画と同じセリフもチラッと登場。主人公のキャラがどう見えるかは、観客の判断に委ねられている。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

瀧問題以前に、作品に難アリ!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『明日泣く』好きとして、斎藤工が演じる坊や哲に期待が膨らんだものの、近未来SF繋がりでいえば、ブリーフからふんどしへ。園子温版『リアル鬼ごっこ』の悪夢ふたたびだ! 昨年公開の3作すべて当たりだった白石和彌監督だが、和田誠監督作へのオマージュはちょい感じられても、笑いのセンスはやっぱりゼロ。竹中直人を乱用してのダダ滑りが続く中、実写版『少女椿』(これもチャラン・ポ・ランタン案件)のような誰も望んでない展開に突入。「われめDEポン」なクライマックスも盛り上がらず、井口昇監督ならもうちょい巧く調理できたのでは? 結果、ピエール瀧問題以前に、作品に難アリだったというオチが付く。

この短評にはネタバレを含んでいます
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