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僕はイエス様が嫌い (2019):映画短評

僕はイエス様が嫌い (2019)

2019年5月31日公開 76分

僕はイエス様が嫌い
(C) 2019 閉会宣言

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

中山 治美

国際映画祭受賞は伊達じゃない!

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

ミッション系の学校に通っていた監督の信仰を考えるきっかけとなった体験がベースになっているという。
多感な時代をボーッと生きて来なかった証。さらに洞察力の鋭さに驚く。
家族団欒の食卓。祖母と手を合わせた仏壇。親友の母が入れてくれたココア...。
劇中の日常シーンが実に温かく、愛おしい。
日々、何を大切に生きてきたか。優れた表現者は幼少期から培ってきたものが違うのだ。
そうして構築された世界はミニマムだが、描かれているテーマ普遍的で、理不尽な事件が多発している今だからこそ、深く考えさせられるに違いない。
自身の体験を俯瞰して見つめることの出来る冷静な目。
そこに新人監督の非凡さを感じるのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

小さな世界が観る者の心を支配する。若き才能のセンスに感服

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

子役たちに設定だけ与え、セリフも任せて長回しで撮った部分など、卒業制作が前提ゆえの思い切った演出だろうが、その冒険心は無鉄砲な行き当たりばったりではなく、的確にドラマに合致する。おそらく時間と予算の都合もあってかフィックスのシーンが多いが、これも新しい学校に入った主人公少年の心情を反映させ、雪に覆われた町の静けさを伝えるうえで効果的だ。

偶然か、奇跡か、天才か。いずれにしても人物の感情をどのように映像で表現するのかを本能的に熟知した、恐るべき22歳(撮影当時)の監督である。作り手自身の喪失感を込めたミニマムな世界ではあるが、多くの人に、個人レベルで「生と死」の境界を考えさせる余韻を残す。

この短評にはネタバレを含んでいます
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