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マルリナの明日 (2017):映画短評

マルリナの明日 (2017)

2019年5月18日公開 95分

マルリナの明日
(C) 2017 CINESURYA - KANINGA PICTURES - SHASHA & CO PRODUCTION - ASTRO SHAW ALL RIGHTS RESERVED

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

中山 治美

痛快! 不埒な輩に成敗を

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

最優秀作品賞を受賞した東京フィルメックス上映時のタイトルは、原題に近い『殺人者マルリナ』。
それをつまらんタイトルに変えたのは不満が残るが、
それでも昨今の東南アジア映画界のレベルの高さと、映画を通して社会に鋭い刃を突きつけてきた若き女性監督の存在を知らしめる日本公開を祝福したい。
西部劇というジャンルを巧みに使った復讐劇で、強盗の末に集団強姦を企てた卑劣な男どもをGo to Hell!
”逆子は女性が浮気をした証”という馬鹿げた迷信もまとめてKillだ。
理不尽な社会に泣き寝入りはしないという新たなヒロインの誕生は、MeToo運動の気運を象徴する新たな夜明け。
アジア映画史に残る快作である。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

その未開の領域はナタで開拓される

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 インドネシア産西部劇、という宣伝は納得で、様式は西部劇。陽炎に揺れる地平線の向こうから、馬に乗った闘士が現れる。画面の中で、空は青く、土は赤く、何もない大地の中で人間は小さい。しかし、開拓するのが西部の荒野ではなく、"人間の権利"という未開の領域なのが、この映画。そのときヒロインが使う武器が、銃ではなく、大きなナタなところが気持ちいい。
 そしてきっちりインドネシア産なのが、色彩と湿度。どこまでも濃紺の空を、鮮やかなオレンジ色の円形の物体がゆっくり移動していくのが、この世界の日暮れ。画面一面に広がるオレンジ色のうろこ雲。湿度の高い南の土地ならではの風景を堪能できる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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