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イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語 (2017):映画短評

イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語 (2017)

2019年5月31日公開 94分

イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語
(C) 2017 ESSOLDO LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

山縣みどり

モリッシーって面倒臭い青年だったのかも

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

「ザ・スミス」で労働階級のカリスマとなったモリッシー。文学好きな彼が作るねじれた歌詞や政治的コメントを聞くと、気難しい人を想像する。が、本作はデビュー前のモリッシーの意外な素顔を描く。根拠のないプライドを持ち、ほかのミュージシャンをディスり、他人と打ち解けない。会社には遅刻し、仕事をやる気ゼロ。殻に閉じこもったダメ青年だが、不思議と嫌な感じはしない。逆に応援したくなるのは、J・ロウデンの演技のおかげか。伝記映画の体裁をとったフィクションだし、モリッシー未公認なので彼の音楽も使用できず。ファンにとっては寂しい? でも挫折を繰り返した主人公の姿はきっと、将来が見えない若者に勇気を与えてくれるはず。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

世に出る前の彼、あなた、自分

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

ともあれ青春映画として絶品。教室の隅っこ、どころか社会の瀬戸際で、ニューヨーク・ドールズのTシャツを着て、NMEに激辛レビューをしこしこ投稿し、バンドやろうぜの貼り紙に夢をつなぐ1976年のヤング・モリッシー。等身大ではみ出し者の初心を思い出させてくれる。

ただ正直少し評価が難しいなと思うのは、十全な状態の映画化とは言い難い点が垣間見えること。例えば観客42人だったマンチェスターでのピストルズ伝説のライヴ(『24アワー・パーティー・ピープル』にも登場したシーン)等、もっとがっつり再現できていたら。とはいえ「我々の偉人伝」として必見には違いない。結末=新しい物語の始まりはどうしたって泣ける!

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

“閉”から“開”へを見つめた愛すべき青春劇

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 本人非公認で製作された映画ということもあり、まずは“モリッシーの伝記ドラマ”という考えを捨てるべし。ここにあるのは彼のペルソナに発想を得た、極度に内気な少年の物語だ。

 周囲にうまく心を開けず、念願のバンドを結成してもうまくいかず、ますます心を閉ざす。そんな主人公が“開かれる”までの物語。ロマンスの要素はないが、そこにいたる道筋をつくるのが女友達や母親ら女性たちである点が興味深く、そこに精神的なラブストーリーを見ることもできる。

 ザ・スミスの曲はまったく使われていないが、墓地や移動遊園地などモリッシーが詞で描いた世界が再現されているのがファンとしては嬉しい。もちろん、グっとくる結末も!

この短評にはネタバレを含んでいます
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