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ワイルドライフ (2018):映画短評

ワイルドライフ (2018)

2019年7月5日公開 105分

ワイルドライフ
(C) 2018 WILDLIFE 2016,LLC.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

山縣みどり

満を辞して監督デビュー作は、ポール・ダノらしさ満載

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

物静かで繊細で熟考型といった演技が持ち味であるポール・ダノの監督デビュー作は彼らしい作品。夫婦間に入った亀裂が広がる過程を息子の眼差しで見つめる悲しい物語をノスタルジックな映像が彩る、深みのある家族ドラマだ。夫婦の機微が薄っぺらくないのは、公私にわたるパートナーのゾーイ・カザンとの共同脚本だからだろう。家族を養えないジレンマに悩む夫と育児が終わりかけて女として開眼する妻を演じるJ・ギレンホールとC・マリガンがうまいのはわかっているが、息子役のE・オクセンボールドが素晴らしい。両親を愛するからこそ、家族の危機に怯える思春期の少年の心痛を視線や表情だけでビビッドに伝える芸達者ぶりにうなった。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

ポール・ダノが監督として世界を描くとこうなる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 14歳の少年が、父親と母親の関係が危うくなっていく状況を眼の前にして、彼らも完全な人間ではないことを知って大人になる。そう古典的な成長物語なので、逆に、本作で監督業に初挑戦するポール・ダノの監督としての資質が際立つ。主人公の少年はあまり言葉を口にすることなく、ただいつも大きく目を見開いている。そうやって、今起きていることを一つも見逃すまいとしている。彼が息を潜めてじっと世界を見つめ続けているので、映像が長回しになる。物語は、起きる出来事よりも、少年の目に映る世界の色調と形で描かれるので、その色調には、屋外でも室内でも細部まで緻密な統一感があり、その丁寧さが品格のようなものを感じさせる。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

監督デビュー作としては上出来

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

俳優ポール・ダノの監督デビュー作は、60年代を舞台にした、崩壊しつつある家族の物語。小粒な設定がら、キャラクターの複雑な心理が描かれるストーリーを選んだのがまず賢いが、そこに最高の演技力を持つ役者をキャストしたことが、成功の理由となっている。頼りないながらも夫である人が、遠いところで危ない仕事をしている間、既婚者としての節操も、母としての責任も放り出してしまう妻。ただのひどい女になってしまいがちなこのキャラクターを、キャリー・マリガンが、共感できる人間として描く。そんな母をなすすべもなく見ているしかない息子の視点から語るのも効果的。今から次回作にも期待したい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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