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凪待ち (2019):映画短評

凪待ち (2019)

2019年6月28日公開 124分

凪待ち
(C) 2018「凪待ち」FILM PARTNERS

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

ギャンブル中毒のろくでなし中年男を演じる香取慎吾が圧巻!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 田舎町で起きたある不条理な殺人事件に端を発する余波を描くことで、時代の空気や病理を浮き彫りにしていく日本版『スリー・ビルボード』。舞台は石巻。愛する人を突然奪われた男の喪失感と罪悪感、そのどん底から這いつくばるように再生していく物語は、おのずとポスト3.11の時代と重ね合わせられる部分も多い。その主人公を演じる香取慎吾がビックリするほど素晴らしい。他者に依存せずには生きていけない、ギャンブル中毒のろくでなし中年男。アイドルのイメージをかなぐり捨てた熱演は圧巻だ。厳しさの中に温かさを秘めた白石和彌監督の演出も、いつになく優しさを感じる。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

ジャニーズ時代に同じ役でも、この香取慎吾は見られなかったかも

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

慎吾ちゃん、ノーメイクの挑戦が話題だが、役者の仕事なんだからノーメイクも当然。そこじゃなく、切実で悲壮、もがき続けながら、時折、安堵をみせる表情の配分を誉めるべき。『クソ野郎と美しき世界』では明らかにSMAPの顔を引きずっていたが、この役にはグループ解散後の彼の「時間」が宿り、現実との境界が曖昧になって、ヒリヒリと胸を締めつける。待っていた「凪」の時間は、まさに今なのか…。さらにいえば、香取慎吾の俳優業への取り組み方を、この役と重ねると感慨も果てしなく深まる。
ギャンブルの無限ループから抜け出せない主人公の運命は、白石監督にぴったりの題材のせいか、その分、描き方は全体にオーソドックスではある。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

“日本版『スリー・ビルボード』”ともいえる力作

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

再起を懸けて、震災地・石巻を舞台にやってくる男・郁男。白石和彌監督の前作『麻雀放浪記2020』と同じく、孤高の賭博師ではあるが、こちらは骨太の人間ドラマだけに監督お得意の路線、作品の仕上がりも雲泥の差だ。愛する人を失ったことで、加速する転落のろくでなしブルースが聴こえるなか、彼を取り巻く人々の目線は温かい。つまり、四十路になっても“ちゃん付け”な香取慎吾の愛されキャラにも重なり、ボコボコになった彼に対し、観客も思わず手を差し伸べたくなり、競輪レースの行方に一喜一憂。じつは真犯人捜しがそこまで重要でない部分も含め、“日本版『スリー・ビルボード』”ともいえる感触を持った力作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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