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アートのお値段 (2018):映画短評

アートのお値段 (2018)

2019年8月17日公開 98分

アートのお値段

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

山縣みどり

アート・マーケットってとても民主主義的!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

数十億円で落札されるアートがある一方、無価値とされるアートがある。その差は何か、をわかりやすく伝えてくれる作品だ。監督が観客に近い感覚で業界人に質問を繰り出し、彼らの回答もかなり率直だからだろう。アート=投機対象という皮肉なアジェンダは感じない。富裕層のマネーゲーム的イメージは強いが、需要と供給の関係で価格が決まる民主主義的なマーケットとわかる。仕組みを熟知した作家が自身の作品につけられた価値をどう考えるかは興味深いが、監督は純粋にアートを作り続けるL・プーンズと商業主義的なJ・クーンズを比較させない。比較に意味はないから。芸術家の思いが価値を左右することはなく、そこに一抹の切なさもある。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

億単位の金が飛び交う美術界に物の価値とは何かを想う

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 サザビーズやクリスティーズなどのオークションにおいて、美術品が信じられないような超高値で競り落とされたというニュースを聞くたび、いったいどこの誰がどういう理由で美術品にそんな巨額のお金を出すのだろうかと不思議だったのだが、なるほど、そういうことだったのか。芸術家からオークショニア、批評家やコレクターまで、大勢の関係者に取材した本作は、もはやマネーゲームと化した現代美術界の裏側を、肯定派と否定派の双方を取り上げながら公平な視点で紐解いていく。原題は「あらゆるものの値段」。億の金がバンバンと飛び交う世界にあんぐりとしつつ、モノの価値ってなんだろうと改めて思わせられる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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