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ドッグマン (2018):映画短評

ドッグマン (2018)

2019年8月23日公開 103分

ドッグマン
(C) 2018 Archimede srl - Le Pacte sas

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

清水 節

ミニマムな関係を通して描く暴力にまみれた世界の暗喩

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

先読み不能な展開。主人公の行動に理念らしきものは無い。仕事であるゆえ犬を愛でている。娘を想う心情も描かれる。しかし感情移入など出来ない。粗暴な厄介者に従属し、不毛な関係を断ち切れない。舞台はイタリアの殺伐とした海辺の街。ろくでなしの弱者である主人公と、力でねじ伏せる無法者とのバランスの変容が見ものだ。『ゴモラ』で裏社会を活写したマッテオ・ガローネ監督が、ミニマムな人間関係を用意して、支配する者と支配される者の愛憎相半ばする共依存の哀れな末路を、容赦なく見せる。もちろん、暴力にまみれた世界の暗喩でもある。私たちが生きる社会を一皮剥けば、露わになる普遍的な真理を直視したい。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

ノワール的なリアリズムと寓話的な神秘性を兼ね備えた作品

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 南イタリアの荒廃した貧しい田舎町。犬のトリミングサロンを細々と経営しつつ、生活のため隣人にコカインを売っている地味な中年男マルチェロが、町で一番凶暴な男シモーネに振り回されて窮地に陥る。根は心優しいが気弱でノーと言えない優柔不断な性格ゆえ、暴力と犯罪のサイクルに呑み込まれていくわけだ。愚かにも間違った選択ばかりを重ねていくマルチェロ。ある種の狂気すら秘めた哀れな転落のドラマは、平凡な善人が「Dog Eat Dog(食うか食われるか)」の世の中で生きていくことの厳しさを物語る。ノワール的なリアリズムと寓話的な神秘性を兼ね備えた、マッテオ・ガローネ監督の演出も面白い。

この短評にはネタバレを含んでいます
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