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フォードvsフェラーリ (2019):映画短評

フォードvsフェラーリ (2019)

2020年1月10日公開 153分

フォードvsフェラーリ
(C) 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

ライター8人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.4

ミルクマン斉藤

実は「フォードvsフォード」なアウトサイダー讃歌。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

J・マンゴールドという監督はアウトサイダーの偏執狂的な側面をぐりぐり攻めてきて僕は大好きなのだけれど本作もそう。見た目から狂ってるナチュラルボーン・レーサー&エンジニアのC・ベイルと、大会社フォード&フェラーリとガチな勝負に挑む元レーサーM・デイモンの、友情を超えたオタク的感応が泣ける。レース・シーンの迫真的キャメラ・ワークは空前じゃないか(まさにIMAX的)。爆裂するエグゾースト・ノイズは勿論のこと、60年代の自動車ポップ=ホット・ロッド・ミュージックぽい感覚を湛えつつブラス・セクションばりばりのロックンロールにアガりまくり。でも二度と還らない時代の寂寞感がなによりいいんだな。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

アメリカ車の誇りと存続をかけた戦いに大興奮

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

フェラーリに合併を蹴られたフォードが誇りとビジネス拡大をかけて臨んだル・マンの熱き戦いに大興奮。とはいえJ・マンゴールド監督が匠の技を発揮するのは、観客の心をひとつにする演出だ。打倒フェラーリに尽力するチームのメンバーVSビジネス面で様いろいろと画策するフォード社重役という図式で物語を盛り上げ、クライマックスのレース場面へと感動を繋げる。レース場面の疾走感と凝ったカメラワークにしびれる。メカニック出身の破天荒なレーサー、マイルズを演じるC・ベールの憑依演技は相変わらず素晴らしいが、アイアコッカ役のJ・バーンサルや悪役ともいえるJ・ルーカスの好演も物語を引き締めている。

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くれい響

ジェームズ・マンゴールド監督の本領発揮!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

買収失敗したフォード社上層部の逆ギレから始まる、ル・マン騒動に巻き込まれた男2人。『ラッシュ/プライドと友情』のように分かりやすい対立構造ではないが、組織と戦うチームメイトとして、道端でガチの取っ組み合いもするブロマンスっぷりに胸アツ。ビジネス書としても知られる自伝「わが闘魂の経営」のアイアコッカの立ち振る舞いは興味深く、『サバービコン 仮面を被った街』でデイモンの息子役だったノア・ジュープはベールの息子役を好演。後半のレースシーンもスゴいが、基本的に人間ドラマに絞って、ジェームズ・マンゴールド監督の本領発揮。当初予定されたマイケル・マン監督なら、ここまで観やすくならないはずだ。

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斉藤 博昭

どこかノスタルジーを伴う感動が、じつに心地よい

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

カーレース映画としてのスピードや臨場感は備えているが、最近の同種の映画のような、無理やりな「ドライバー目線」のカットは少なめ。速さよりも駆け引きが重要なルマン耐久レースなので、このアプローチは作品にとって正解だ。

何かと「描写のバランス」が注視される近年。今作も妻の目線がもっと出てくるかと思いきや、あくまで二の次。男同士のプライドや友情、会社内の攻防と、集中すべき流れに愚直なまでに徹する。

つまりこの作品、全体にどこか、ひと時代前の映画を観ている感覚に導くのだ。その作風が、背景となる1960年代にピタリと合うのは、おそらく意識的だろう。じわりと心にしみる、クラシカルな「男の映画」の後味。

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平沢 薫

一直線な男たちの魂が熱い

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ド直球の熱血ドラマ。自分の求めるものが何かを知っている男2人が、周囲の無理解やお互いの違いを乗り越えて、求めるもののために邁進する。その一直線ぶりが熱い。
 中心人物2人はどちらも魅力的。ベイルは天才肌の偏屈なドライバー役がお似合いなうえ、その隣にノア・ジュープ演じるそんな父を全身全霊で愛する息子がいるので、ただの変人ではないと分かる。デイモン演じる元ドライバーで今は組織に属する男が、組織上層部と協調性のないドライバーの間で、双方の説得に取り組む姿には、会社勤め経験がある者なら胸を打たれずにはいられないはず。
 そんな彼らの熱さを、レースのスピードとタイヤの摩擦熱がさらに白熱させる。

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相馬 学

“資本”とせめぎ合う、“才能”の熱き闘い

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ある分野に秀でた人と、それに出資する人。才能と資本。力を持つのは当然、後者だ。とはいえ、“才能”は簡単には“資本”の言いなりにはならない。そんなせめぎ合いの断面を、エンタメに昇華した本作。

 ル・マン24時間耐久レースでの勝利を目指すふたつの“才能”。敵はライバルチームというより、むしろ“資本”で、厄介な指図をしてきては窮地に追い込まれる。“才能”が下さねばならない決断のドラマがアツく、胸に迫る。

 社会の縮図と言うべきそんなドラマを実話から見出した製作陣の着眼点に拍手。『バイス』の肥満体から一転、激ヤセしてレーサー役に挑み、夢追い人を体現したC・ベイルの熱演も賞賛されるべきだ。

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村松 健太郎

すっごい漢臭い映画

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に続き、60年代を舞台にしたからこそ描かれるキャラクターのマッチョ感、女性の添え物感、タバコ吸いまくりシーン。
ジェームズ・マンゴールド監督が描く古き良き時代の良き所をギュッと凝縮してみせて、あの時代もよいところはあっただろう?と語り掛けてくれます。
マット・デイモンもいいですが、やはりクリスチャン・ベイルは見事にはまって見せました。
IMAXなどできるだけ大きく没入感のある環境で見られるべき映画。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

真のプロフェッショナルは「競争」を意に介さない

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

実際のお話は一匹狼達 vs フォード社の重役陣。『ラッシュ/プライドと友情』的なW天才の世界にこってり乗っているのが「個と組織」の主題だ。『レッドライン7000』を持ち出すまでもなく、これは完全にホークス映画のチューンナップ。例えば山田宏一さんの『ハワード・ホークス映画読本』を開くと「あらっぽい喧嘩から友情が生まれ」「それぞれ自分にしかない知恵と力でたたかう」など本作に相当する文が続々出てくる。

M・デイモンとC・ベイルが素手で取っ組み合いしてコカコーラで乾杯する単純な美しさ。マンゴールド監督の「20世紀アメリカ映画」を21世紀に橋渡しする作業は万全。「そこに映画がある、それが映画なのだ」!

この短評にはネタバレを含んでいます
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