ひるまず、まっすぐに向き合った気概が、異例の臨場感に結実

2020年2月6日 斉藤 博昭 Fukushima 50(フクシマフィフティ) ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
Fukushima 50(フクシマフィフティ)

もう9年、まだ9年ということで、冒頭から「あの日」の記憶が蘇るのは、異様なまでの臨場感が映像全体を支配するからか。その後、たたみ込むような展開は、こちらの個人的記憶を搔き消すかのようで、かつて体験したことのない緊急事態の渦中に観客を放り込むことに成功した。

『シン・ゴジラ』のように余分な人間ドラマを排除する選択もあったろうが、現実と地続きという点で、避難住民など俯瞰的視点は「記録」として不可欠。若松監督の前作『空母いぶき』で明らかに浮いていた「現場外」が、今回は過不足なく溶け込む。何ヶ所か疑問に感じる瞬間もあることはあるが、作品全体の志の高さと、演じ手の真摯なアプローチで、それらも霧散する。

斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴:1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況:LAの『フェアウェル』ルル・ワン監督、ロンドンの『カセットテープ・ダイアリーズ』グリンダ・チャーダ監督に、Skypeインタビュー。ともに外出規制などある中、前向きに明るく話してくれて、一刻も早い日常生活の復活を祈るのみ。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

斉藤 博昭さんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]