朝鮮半島の悲哀を滲ませるリアルなスパイ劇

民族分断の象徴でもあるドイツのベルリンで、韓国と北朝鮮の壮絶な諜報戦が繰り広げられる。CIAやモサド、アラブのテロリストにロシアの武器商人まで絡むインターナショナルな設定のワリに、スケールは意外と小ぢんまり。冷戦時代の東西スパイ活動を身近に感じて育った身としては、007的な荒唐無稽さと一線を画した演出には説得力を感じる。まあ、それなりに映画的なドンパチ&肉弾アクションはあるけれども。ただ、金正恩政権のどす黒い陰謀でも浮かび上がるのかと思いきや、結局はただの内紛ですか。ハン・ソッキュの下手クソすぎる英語もちょっと気になるポイント。とはいえ、同じ民族同士で南北が憎しみ合うばかりか、それぞれの味方同士でも足の引っ張り合いをする朝鮮半島の悲哀は痛切なくらい滲み出て印象深い。