すべてが歌い続けるコーエン兄弟流の音楽映画

2020年5月15日 平沢 薫 オー・ブラザー! ★★★★★ ★★★★★

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オー・ブラザー!

 すべてが歌い続ける、まさに音楽映画。鉄道工事をする囚人たちが歌い、洗礼を受ける信者たちが歌い、川で洗濯する女たちが歌うだけでなく、手動トロッコが歌い、列車が歌い、マシンガンが歌う。そうでない時には、ジョージ・クルーに扮する主人公が歌うように抑揚をつけながら喋り続ける。これらの歌の原点は、土から生じて歌われてきた米南部の土着古謡。冒頭にホメロスの古代叙事詩オデッセイの「ミューズよ、私を通して歌い、語りたまえ」を掲げ、それを実践したのがこの映画なのだ。しかも画角はシネマスコープ、撮影は名匠ロジャー・ディーキンス、映像が気持ちよくないわけがない。目と耳を委ねているだけで至福の時間が味わえる。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:ニコラス・ケイジの進行役がお似合いの「あなたの知らない卑語の歴史」@netflix、番組構成に意外と鋭い考察もあり、ちょっと刺激的。1シーンが短くてサクサク進む1話20分というスピード感も快適。

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