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のぼる小寺さん (2020):映画短評

のぼる小寺さん (2020)

2020年7月3日公開 101分

のぼる小寺さん
(C) 2020「のぼる小寺さん」製作委員会 (C) 珈琲/講談社

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.8

なかざわひでゆき

頑張ることの素晴らしさを改めて教えてくれる

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 コミック原作の青春映画に対する、ある種の偏見を完全に覆すような、実に素朴で愛おしい映画である。主人公は高校のクライミング部に所属する女の子・小寺さん。勝ち負けなんて眼中にないし、他人からどう評価されるかも一切気にしない。ただただ、のぼることが好きだから。それだけの理由でボルダリングに情熱の全てを傾け、がむしゃらに頑張る真っ直ぐな彼女の姿勢が、人生に目的を見出せずにいた生徒たちに前向きな影響を与えていく。冷笑や諦めが蔓延する昨今の日本社会にあって、自分の気持ちに正直でいい、頑張るって素晴らしいことじゃないか!と語りかけ、ささやかな変化に大きな価値を見出す本作の持つ意義は大きい。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

“日常系”クリエイターの最強コラボ!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

ヴィジュアルだけでは敬遠してしまいがちな原作コミックだが、“日常系”を得意とする監督:古厩智之×脚本:吉田玲子によるコラボが功を奏した、20年日本映画界のダークホース的存在! しかも、「好きだ。」の一言が伝えられない『この窓は君のもの』感に、目標が見えることで仲間との距離が離れていく『まぶだち』感、そして大会をクールかつリアルに捉えた『ロボコン』感と、古厩監督の集大成と言っても過言ではない仕上がりがジワる。ルパンイエロー出身ならではの身体能力を生かし、凛とした表情も眩しい工藤遥もいいが、芸達者ゆえ、「鈴木先生」以降、ハマり役に出会ってなかった感のある小野花梨のサポートも見事。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

それぞれが動き始める姿が、清々しい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 青春映画として、清々しい。淡い恋愛ものではあるのだが、それは主題ではない。高校の運動部員たちの話だが、いい意味で汗臭くない。その理由の一つはこの物語が、誰かが必死の努力によって何かの達成を目指す話ではないからだろう。主人公は、タイトルの小寺さんではなく、彼女を見ている高校生男子。小寺さんはポルダリング部員で、ただ登るのが気持ちいいから登っている。すると、そんな彼女を見ている周囲の人々が、自分もとにかく動き出したくなり、それぞれの場所で動き始める。そんな物語なのに、暑苦しくなく説教臭くもなく、軽やかで爽やかなのは、常に明るい色彩と、登場人物たちの間の距離が急には近くならないせいだろうか。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

青春全肯定!!!

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

これは見事にやられてしまいました。
他人から見れば、そこまでのことか?と思われることに熱中する青春時代。
時には醒めた目で見られたりすることもありますが、この映画はではそんな青春、何かに夢中になることを大肯定してくれます。
工藤遥の身体能力も含めた好演は一発で見る者を魅了してくれます。相手役に回った伊藤健太郎の巧さはいまさら言うまでもありませんが、他のキャストも含めて見事なはまり具合。特に文化祭のシーンで鳥肌が立ちました。コミック原作学園モノと言うことで敬遠する人もいるかもしれませんが必見です。

この短評にはネタバレを含んでいます
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