熱帯の密林がどこまでも青く冷たい

2020年8月5日 平沢 薫 この世の果て、数多の終焉 ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
この世の果て、数多の終焉

 映し出されるのは植物が繁茂する熱帯の密林なのに、色彩は常に冷たく蒼ざめている。主人公の心理が凍り付いているために、世界は彼の目にそのように映るのだ。
 戦争映画というよりは極限状況に陥った人間の心理ドラマ。フランス人の主人公にとって、旧フランス領インドシナでの戦争体験は、異なる自然、まったくの異文化との遭遇だった。価値観を見失い、帰る場所もない主人公は、自分が生きている理由を見つけあぐねて、敵への復讐に執着する。しかし、するとその執着のせいで、自分が何を求めているのかがさらに分からなくなる。得体の知れない密林が生きることの謎のように立ちはだかり、主人公はただ途方に暮れるしかない。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」の脚本家チャーリー・カウフマン監督・脚色の「もう終わりにしよう。」@Netflix、映画だけ見ても面白いが、イアン・リードの同名小説(ハヤカワ文庫)を読むと、カウフマンがこの小説をどう読んだのかが見えてきて面白さ倍増。

平沢 薫さんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]