アグニェシュカ・ホランドの冬が凍てつく

2020年8月7日 平沢 薫 赤い闇 スターリンの冷たい大地で ★★★★★ ★★★★★

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赤い闇 スターリンの冷たい大地で

 ウクライナの冬、大気は湿ったまま冷たく、雪原の白さもかすかに青を帯びる。その湿度と冷気を映し出す映像が魅了する。そして、その雪原で幼い子供たちの惨状を見た主人公が、その後、幻視する光景が凄まじい。監督はTV「THE KILLING ~闇に眠る美少女~」でも北の冷気で魅惑した、ポーランド出身のアグニェシュカ・ホランドだ。
 題材は、スターリンのソ連を取材した実在の英国人記者。主人公は「教師になれば平穏な日々が送れるが、数年後に夜中に叫んで目が覚めるだろう」と考えてジャーナリストになる。彼が取材に没入するさまと、作家ジョージ・オーウェルが「動物農場」を執筆する姿を並行して描く演出も興味深い。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」の脚本家チャーリー・カウフマン監督・脚色の「もう終わりにしよう。」@Netflix、映画だけ見ても面白いが、イアン・リードの同名小説(ハヤカワ文庫)を読むと、カウフマンがこの小説をどう読んだのかが見えてきて面白さ倍増。

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