復讐に突き動かされた男と戦争の狂気

2020年8月24日 なかざわひでゆき この世の果て、数多の終焉 ★★★★★ ★★★★★

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この世の果て、数多の終焉

 太平洋戦争末期の仏領インドシナ(現ベトナム)。日本軍による大量虐殺(実際に酷似した事件が起きている)で大切な兄夫婦を失い、自らも命からがら生き残ったフランス軍の若き兵士が、日帝の残虐行為を見て見ぬふりしたベトナム解放軍将校への復讐に執着していく。植民地主義によって他国を強制占領した側が、蹂躙された民族のリーダーに恨みを抱くという矛盾。復讐という破壊的な欲求に突き動かされた男が、同時に現地女性への報われぬ愛に身を焦がすという矛盾。そうした幾つもの矛盾の中から、人間の理性を失わせて野獣のように変えてしまう戦争の狂気を炙り出していく。戦時下における人間心理のメカニズムに迫る映画として秀逸。

なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴:日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとしてキャリア30年。TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。海外取材経験も多数。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況:最近は今さらながらK-POPのボーイズバンドにドハマり中。一番の御贔屓はMCNDですが、NCTやTREASUREも大好き。もちろんBLACK PINKとかITZYとかEVERGLOWとかガールズにも夢中です。

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

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