大倉忠義と成田凌はまるで、止まり木にいる鳥のよう

2020年9月14日 轟 夕起夫 窮鼠はチーズの夢を見る ★★★★★ ★★★★★

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窮鼠はチーズの夢を見る

誰にでも残酷な優しさを発動する「大伴」と、そんな男を愛してしまった小悪魔「今ヶ瀬」の、心と体の輪舞(ロンド)を観ながら思う。人はなぜ、人を愛するのかと。もしかしたら受け入れてくれた相手を通して、自分自身を愛しているだけでは? が、行定監督は示す。物語の分岐点で映画『オルフェ』(50)を引用し、その深奥なる世界を──。

ベストキャストの大倉忠義と成田凌はまるで、止まり木にいる鳥のようだ(細身の成田が、膝を抱えて“あの椅子”に座るシーン!)。何を考えているのか、いつ飛び立つのか、それが見えないのがスリリングで、ずーっと眺めていられる。繊細な空間を構築した照明担当、松本憲人氏に哀悼の意を捧げたい。

轟 夕起夫

轟 夕起夫

略歴:文筆稼業。1963年東京都生まれ。「キネマ旬報」「映画秘宝」「クイック・ジャパン」「DVD&ブルーレイでーた」「QJweb」などで執筆中。近著(編著・執筆協力)に、『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』(スペースシャワーブックス)、『寅さん語録』(ぴあ)、『冒険監督』(ぱる出版)など。

近況:またもやボチボチと。よろしくお願いいたします。

サイト: https://todorokiyukio.net

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