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鵞鳥湖(がちょうこ)の夜 (2019):映画短評

鵞鳥湖(がちょうこ)の夜 (2019)

2020年9月25日公開 111分

鵞鳥湖(がちょうこ)の夜
(C) 2019 HE LI CHEN GUANG INTERNATIONAL CULTURE MEDIA CO.,LTD.,GREEN RAY FILMS(SHANGHAI)CO.,LTD.,

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

なかざわひでゆき

『薄氷の殺人』にハマった映画ファンなら必見の中華ノワール

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 中国南部の地方都市を舞台に、警官殺しの罪で指名手配された窃盗団の男と、彼の仲間に雇われて逃亡を手引きする場末の売春婦の破滅的な逃避行が描かれる。『薄氷の殺人』でベルリン国際映画祭の金熊賞に輝いたディアオ・イーナン監督の最新作。まるで出口の見えない迷路のような深い闇夜、安っぽいネオンカラーに彩られた鮮烈な色彩。閑散としたディスコではボニーMの「怪僧ラスプーチン」が空しく鳴り響く。経済発展から取り残されたような地方社会の荒廃ぶりと最底辺に生きる人々の哀しみを、悪夢的な幻想美で浮かび上がらせていくイーナン監督のノワーリッシュな演出は相変わらず見事で、比較的凡庸なストーリーを補って余りある。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

中国が表に出したくない闇の深さよ!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

経済力や軍事力などで他国を圧倒し、世界一へと上り詰める中国。国民皆ハッピーを強調する共産党の思惑とは真逆な、犯罪者ワールドも存在すると改めて思わせる中華ノワールだ。スタイリッシュな映像が闇に生きる人々の孤独を浮かび上がらせる妙味! もめ事に巻き込まれたムショ帰りの男と水浴嬢(娼婦)の絡みを軸に描かれる、アンダーグランドな人々の必死の攻防が実に切ない。かつては愛があった夫婦の決断や仲間への忠誠と裏切りは犯罪映画のお約束だが、統制された中国の社会事情がそれぞれの選択に大きく影響すると考えるのは穿ち過ぎ? 社会の腐敗と共存せざるをえない人々が求める幸せとは何か、と監督は問いかける。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

アクション要素も強まったチャイナ・ノワール

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』の撮影&美術監督が参加していることもあってか、ミステリアスな雰囲気に関してはカブるかもしれないが、ディアオ・イーナン監督は前作『薄氷の殺人』を、さらにアップデート。アイススケート場から湖に舞台を変え、ふたたびファムファタールを演じるグイ・ルンメイの妖しさも倍増。ハードアクションをスパイスに、馬をバイクに変えた武侠映画の影響も強いチャイナ・ノワールに仕上がっている。そして、Vシネ時代の阿部寛を思い起こさせるヤバさも放つフー・ゴー。ウォン・カーウァイ総監督のTVシリーズでも主演を務めるだけに、香り立つ色気がスゴいのなんの!

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

入り込んだら脱け出せない、衝撃と陶酔のリミックス

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

雨の夜、男と女のミステリアスな接近。警官殺しの容疑者を追う警察。裏社会の男たちの壮絶な争い。湖のほとりでしたたかに生きる娼婦……。

妖しげな要素の数々が、主人公のどこかゆるやかな逃亡劇を鮮烈にいろどり、一瞬でも没入したら陶酔へまっしぐらの世界が待っている。アクションの衝撃やタイミング、奇妙なアイテムや風景など映画的演出も冴えわたる。主人公たちを照らすピンクパープルのネオンの美しさは、最高級アートの味わい。

今作ではどこか西島秀俊似の主演フー・ゴーは、かつて大事故で重症を経験。その過去をこの役と重ねて観ると、無表情の奥から諦念のような心理が切実に伝わってきた。
人生の荒野にむせび哭く傑作。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

ネオンと銃声と女、美学健在

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

『薄氷の殺人』のディアオ・イーナン監督最新作は美学健在のノワール映画。
やはり見どころはネオンや街頭、ヘッドライトで彩られる夜の街並みの異様な美しさです。
終盤までじっくり、じっとりとと横移動の画角で見せていて、、それがビニール傘のとんでもない使われ方以降、一気に縦横斜めのに奥行きをたっぷり使った画にガラッと変わってって物語を加速させてクライマックスを迎えます。
闇に包まれる街並みと謎多き女、エロスとサスペンスが濃密に混ざり合いノワール映画格あるべきという映画です。

この短評にはネタバレを含んでいます
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