硬質で端正なモノクロ映像による民話的世界

2020年10月3日 平沢 薫 異端の鳥 ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
異端の鳥

 少年が旅を進めるのに従って、出来事は神話的民話的なものから、次第に現実的なものに変貌していくが、その残虐性は変わらない。人が簡単に殺され、人がそれを平気で見ている世界。少年自身もそれらを体験したために、自ら残虐性を発揮するようになる。
 その内容の対極にあるべく、映像は常に徹底的に端正なまま。硬質で明度の高いモノクロ映像は、静的な美しさに満ちている。
 まったく知らない個性的な顔立ちの東欧の俳優たちが演じる人々の中に、時おりハリウッド映画で見慣れたハーベイ・カイテルやスカルスガルドらの顔が混じり、この映画が創られた世界が、ハリウッド映画の創られる世界と地続きであることを痛感させる。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー」@Netflix、前作「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」の元ネタはシャーリー・ジャクソンの「たたり」だったが、今回はヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」。名作を根底に置いてはいるが、今回もアレンジぶりが物凄い。

平沢 薫さんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]