荒廃した社会で人間はどこまで残酷になれるのか

2020年10月8日 なかざわひでゆき 異端の鳥 ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
異端の鳥

 第二次世界大戦下の東ヨーロッパ。ホロコーストを逃れて田舎へ疎開した幼い少年が、排他的な村人たちによって迫害・追放され、放浪する先々でこの世の地獄を目の当たりにし、やがて無垢な少年ではいられなくなる。モノクロの端正な映像美はタルコフスキー、戦時下の凄まじい暴力を描いたストーリーは『炎628』とも比較されるが、本作でぶちまけられる“普通の人々”の悪意と偏見と残虐性は『はだしのゲン』をも彷彿とさせ、社会の荒廃とモラルの崩壊によって人間がどれほど残酷になれるのかを改めて思い知らされる。日本をはじめ世界中で寛容と共感と良識が失われつつある今、これは決して目を背けてはならない警鐘とも受け取れるだろう。

なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴:日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとして、TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。また、数多くの来日スターにインタビューしており、ハリウッドのスタジオや撮影現場へも毎年コンスタントに足を運んで取材をしている。特に海外ドラマの現地取材は本人も数え切れないほど(笑)。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況:新しく映画ブログ始めました。よければチェックしてみてください♫なかざわひでゆきの毎日が映画三昧→http://eiga3mai.exblog.jp/

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

なかざわひでゆきさんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]