戦争が個人にもたらす悲劇と、不屈のヒーロー実話の美しき合体

2020年10月15日 斉藤 博昭 キーパー ある兵士の奇跡 ★★★★★ ★★★★★

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キーパー ある兵士の奇跡

ある程度、予想どおりに進む心地よさ。そこに要所でのサプライズ。このバランスが映画的に巧みで、これを観て「つまらない」と感じる人は限りなく少ないだろう。そんな見本のような一作。
サッカー場面が前半こそ物足りない気もしたが、見せ場ではきっちりと、しかも過剰にならず、映画のリズムを崩さないところが好印象。
終戦後、ナチスに従った元ドイツ兵として個人攻撃の差別を受ける主人公の姿も、わかりやすいとは言え、「罪を憎んで人は憎まず」と頭で理解しても、そうなれない人間のサガと集団心理を突きつけられ、現在と地続きの感覚に陥る。
そして何より、戦争がもたらす悲劇とトラウマ、代償と克服は、心をえぐるほどに痛々しい。

斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴:1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況:LAの『フェアウェル』ルル・ワン監督、ロンドンの『カセットテープ・ダイアリーズ』グリンダ・チャーダ監督に、Skypeインタビュー。ともに外出規制などある中、前向きに明るく話してくれて、一刻も早い日常生活の復活を祈るのみ。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

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